転職に伴う確定申告と税金の手続きについて正しく理解しましょう。
さもないと、必要以上の税金を払うこととなり、損してしまいます。
ブランクなしで転職することができれば、社会保険や税金の手続きは転職する会社が行ってくれます。
しかし、退職してから転職先に勤めるまでの間にブランクがある場合は、確定申告をはじめ、自身で税金の手続きを行う必要があります。
そこで今回は、薬剤師が転職後に必要となる確定申告と税金手続きについてご説明いたします。
所得税は確定申告をしなければ返ってこない
納税は国民の義務の1つですが、企業や薬局、病院でずっと勤務していた人にとって、税金の支払いについて意識する機会というのはほとんどありません。
なぜならすべての税金が給与から毎月自動的に天引きされているからです。
そのため、実は払っている税金の種類や金額を正しく把握していないことも多いはずです。
給料から天引きされている税金の1つに所得税があります。
まずはこの所得税についてその仕組みや退職後の手続きについて説明していきます。
所得税とは?
所得税とはその名の通り所得にかかる税金のことを言います。
給与所得の合計から、医療費や社会保険料、生命保険料など控除の対象となる金額を差し引いた金額を毎年納税する必要があります。
通常勤めている場合には、年間で納めることになるだろう金額を概算して毎月の給料やボーナスから天引きされ、事業所を通じて納税しています。
ここで大切なのは、毎月支払っている金額はあくまで概算であるという点で、実際に支払うべき金額とは異なる場合が非常に多いということです。
そして特別な事情がない限り、1年間働けば実際の納税額よりも多く支払ってしまっているのです。
払い過ぎてしまった所得税に関しては事業所が年末調整を行い、翌年の給料と一緒に還付されることになっています。
1月のお給料がいつもより多かったという経験のある方も多いのではないでしょうか。
前年に払い過ぎていた所得税が返ってきていたわけですね。
損しないために必ず確定申告を!
しかし、退職してしまった場合は注意が必要です。
再就職した時期によって手続きの仕方が変わってきます。
退職した年の年末までに転職した場合
退職した年の年末までに転職すれば就職先で同じように年末調整を受けることができます。
この場合、前職を退職する際に発行される源泉徴収票の原本が必要になりますので、大切に保管しておくようにしましょう。
退職した年に転職しなかった場合
本当に気をつけなければならないのが、年内に再就職しなかった場合です。
年内に再就職しなかった場合は年末調整を受けることができないので、自分自身で確定申告を行わなければ還付を受けることはできません。
何もしなければ、所得税を納め過ぎている状態になってしまいます。
必要以上の税金を払って損してしまわないためにも、税務署に行ってすみやかに手続きを行いましょう。
所得税の確定申告受付期間は、例年2月16日~3月15日となっています。
確定申告を行う際にも、源泉徴収票の原本が必要になります。
退職しても追いかけてくる住民税の支払い通知
所得税と同じく、毎月給与から天引きされている税金に「住民税」というものがあります。
ただし、住民税と所得税はその計算方法や納税の仕組みに大きな違いがあります。
これをきちんと理解して準備しておかないと、退職後に大変なことになってしまうのです。
あとから後悔しないためにも、住民税の仕組みと退職後の支払いについて正しく知っておきましょう。
住民税とは?
住民税とは、納税者がその年の1月1日時点で居住している都道府県および市町村に支払う税金のことを言います。
全国どこに住んでも同じ金額を納税する所得税とは異なり、居住している自治体によって金額は変わってきます。
また所得税は年間の納税金額を概算して先払いする方式でしたが、住民税は後払い方式となっています。
具体的には、毎年1月から12月までの1年間の所得に応じて決定された金額を、翌年の6月から翌々年の5月までの期間で支払うという仕組みです。
勤めている場合は、これが月々の給料とボーナスから天引きされているのです。
先払い方式である所得税とは異なり住民税は実際に支給された前年の給料をもとに算出されているため、年末調整や確定申告を行う必要はありません。
退職後の住民税の支払いに注意
後払い方式である住民税において最も気をつけなければならないことは、退職しても前年分の支払いが続くということです。
もちろん、すぐに新しい職場に就職した場合は引き続き給料からの天引きによって納税を続けることは可能です。
問題は、退職してそのまま就職しなかった場合なのです。
後払いである以上、前年の収入にかかった住民税をたとえ収入が0になっていても納税し続けなければならないのです。
退職時期によって変わる住民税の支払い方法
このように退職後に大きくのしかかってくる住民税の支払いですが、実は退職時期によって支払い方法が異なります。
退職してしばらく就職する予定のない方は、退職時期を決める際の参考にしてみてください。
1月~5月の間に退職した場合
支払い期限である5月までの住民税を退職するときに一括で支払うことになります。
例えば2月に退職した場合、2~5月分の住民税をまとめて支払ってしまうのです。
ただし6月以降も就職していない場合には、6月に前年分の住民税を支払うよう通知が届くことになるので、自分自身で納税する必要があります。
6月~12月の間に退職した場合
支払い期限である翌年5月までの住民税を退職するときに一括で支払うか、分割で支払うかを選ぶことができます。
一括で支払う場合は会社に手続きしてもらい、分割で支払う場合はあとから届く通知にもとづいて自分自身で納税します。
さらに翌年6月以降も就職していない場合には、6月に前年分の住民税を支払うよう通知が届くことになるので、自分自身で納税する必要があります。
どちらの場合も、自分自身がもらった給料に応じた額を納税しているので厳密に言うと損得はありません。
しかし給料からの天引きに慣れてしまっていると、いざ自分で納税する際に大きな負担を感じてしまうでしょう。
あらかじめ翌年の支払いがどのくらいになるのかを確認しておくことが大切です。
退職金にも税金はかかるのか
最後に、退職時にもらえる退職金の取り扱いについてご紹介したいと思います。
退職金は、給料とはまったく別の扱いになります。
しかし、退職金にもしっかり税金がかかってくることを忘れてはいけません。
ここではその仕組みと手続きについてご説明します。
退職所得にかかる税金と納税方法
退職金は「退職所得」として取り扱われ、通常の給料とは異なる税金がかかります。この退職所得にかかる税金は退職金の金額によって変わってきます。
退職所得にかかる税金の納税手続きは、退職時に「退職所得の受給に関する申告書」を提出することで完了します。
基本的には退職する際に提出を求められるはずですので、退職所得だからと言って特別難しい手続きの必要はありません。
退職所得の需給に関する申告書を提出しなかった場合
ただし、もしも申告書を提出しなかった場合は自分自身で確定申告を行わなければなりません。
退職所得にも源泉徴収票が発行されるので、それを持って翌年の確定申告時に税務署に手続きに行きましょう。
ただし、確定申告に行った場合と申告書を提出した場合では、税率の計算方法が違います。
確定申告だと金額にかかわらず一律の税率が課せられてしまうため、スムーズな納税をするためにも正しい金額を納税するためにも、申告書の提出をおすすめします。
まとめ
これまで勤めていた人にとって、税金の仕組みについて正しく理解することは実はとても難しいことなのです。
これまでは会社に任せているだけで自動的に支払われていたのですから、それも当然ですよね。
しかし、納税は国民の義務。
社会人として当たり前の義務を果たすためにも、あなた自身があとで損をしてしまわないためにも、正しく理解してきちんと納税しましょう。
まずは、退職した翌年に必ず確定申告に行くことをお忘れなく!
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