薬剤師の転職活動

調剤未経験の薬剤師が転職で失敗しないため5つのポイント

 

2019年10月には消費税増税をひかえており、診療報酬の消費税対応改定も予定されています。
薬価についても改定がおこなわれますが、消費税引き上げ分を反映させる一方で、長期収載品のさらなる引き下げが示唆されており、薬局はもちろんのこと、製薬メーカーや医薬品卸にとってもかなり厳しい改定となることが予想されています。

そうした中で、良好な経営を目指すために、早期退職や新入社員数の抑制をおこなう製薬メーカーや医薬品卸も増えています。MRや医薬品卸の管理薬剤師としてはたらいている薬剤師においても、これらの業種に見切りをつけ、調剤薬局への転職を目指すケースが増加すると予想されています。

では、MRなどの企業勤めで調剤未経験の薬剤師の方が、ドラッグストアや調剤薬局などの薬剤師として働く際に気を付けることにはどのようなことがあるのでしょうか。
また、職場選びにおいて気を付けるポイントには、どのようなものがあるのでしょうか。

実際に調剤未経験でMRからドラッグストアに転職した筆者の経験と、現役エージェントのアドバイスを元に解説したいと思います。

調剤未経験の薬剤師は新人薬剤師と比較される


調剤未経験の方が現場で働いていく場合でも、ある程度の医薬品の知識が求められます。

調剤未経験の中途社員は、調剤が未経験ということでは同様の新卒薬剤師とともに研修などを受けることになるわけですが、新卒の薬剤師は直近の6年間で薬の勉強をしており、さらに扱う医療の知識も新しいです。
特に現在の薬学部は6年制課程となっており、3ヶ月の薬局実習と3ヶ月の病院実習が行われています。

そんな新人薬剤師とともに集合研修やOJTを受けることになるので、中途社員とは入社の段階で大きな知識の差がついているにも関わらず、比較されることになってしまうのです。

調剤未経験の薬剤師の最初の仕事は何か

調剤の業務フロー(処方箋入力→ピッキング→監査→投薬→薬歴記入)

調剤においては、処方箋入力 ピッキング 監査 投薬 薬歴記入というフローが一般的ですが、新入りとして入った場合は投薬と薬歴記入が中心となります。

先輩薬剤師が集めて監査をした医薬品のトレーを次々と渡され、ひたすら投薬をするというところからのスタートとなります。

今日の治療薬』などで最低限の有名な医薬品の使い方やガイドラインなどは押さえておいて、最低限の服薬指導はすぐにできる状態であることが望ましいでしょう。

全く無勉強の状態で入社をしてしまうと、毎回質問をすることになり、周りの先輩薬剤師も何もかもを聞かれると教える気持ちが無くなってしまいます。

質問をしても「もういいから次やって」と言って、次のトレーを手渡している光景も珍しくはありません。
ガッツのある薬剤師はそこできちんと復習をして知識を向上させていきますが、そうでない薬剤師は数日で退職をしてしまうのです。

調剤未経験の薬剤師の調剤の仕事の覚え方


仕事を覚えていく中で、中途であれば研修はほとんど期待できません。

調剤薬局ではそれぞれの薬局で応需する科目がバラバラであるという性質上、研修で一様の知識を学んだとしても、それは現場に則した知識にはなっていません。

また、中途薬剤師にそこまでのコストをかける薬局も少ないので、研修としてはOJTが中心となります。

OJTではどのように仕事を覚えていくのか

OJTでは、多くの場合は入社2~5年目くらいの薬剤師が教える側を担当することがほとんどです。

新卒入社というバックグランドが同じで、自分よりも年下の薬剤師に対しては教えようとする気持ちもあるものの、大きく年の離れたベテラン薬剤師に対してはどうして良いものかわからないものです。

大手であってもしっかりと勉強をしている薬剤師ばかりではありません。先輩薬剤師に質問をしたとしても明朗な回答が返ってくるわけではなく、結局は自分で勉強をしていく必要があります。

「誰かが教えてくれる」という考えで入社をしてしまうと、いつまでも知識やスキルは向上することは無く、「今度のベテラン薬剤師は使えないな」と言われてしまうでしょう。

調剤未経験の薬剤師が仕事を覚えるのにかかる期間

では、きちんと勉強をしたとして、調剤の仕事を覚えるのにどのくらいの期間がかかるものなのでしょうか?

レセプト業務や管理業務は2年以上の経験が無いと習得することは難しいですが、調剤のスキル自体は、個人差はありますが3ヶ月~1年あれば習得できます。

調剤未経験の薬剤師が自分でできる学習の仕方は何か


調剤の概要については、薬局備え付けの調剤指針を読むことで習得できますし、薬の知識は『今日の治療薬』や添付文書から学んでいくことができます。
保険については、医療事務さん向けのテキストなどを書店で買ってくることで学べます。

また、今日ではインターネットを活用することもできるので、「管理薬剤師.com」などといった薬剤師のブログを活用することで基本的な知識は学ぶことができます。

筆者が調剤未経験で転職に失敗した体験談

本稿の筆者も、製薬会社のMRから大手ドラッグストアへと転職をおこなった経験を持っています。

調剤未経験であったため、中途研修が充実していそうな大手ドラッグストアを選択しましたが、現実には中途社員に対する研修体制は整っておらず、さまざまな苦労を経験しました。

それは、「集合研修は用意されているが、具体的な内容ではない」「医療用医薬品についての知識は自分で学ぶしかない」「ひたすら投薬と薬歴をさせられる」といったものです。

調剤未経験薬剤師が転職に失敗した理由を考える

前述のとおり、調剤未経験で入社した大手ドラッグストアの勤務環境は悪く、スキルアップにつながるものではありませんでした。

では、なぜ転職に失敗してしまったのでしょうか。その理由を考えてみます。

  • 転職エージェントに「大手なら教育体制が整っている」と言われて転職したが、実情は違った
  • 利用した「リクナビ薬剤師」はドラッグストアへの転職には強いが、調剤については詳しくなかった

これらの理由から、最初の転職に失敗してしまったと考えられます。

調剤未経験の薬剤師が転職に失敗しないための職場選びの5つのポイント

調剤未経験者が転職に失敗した例について解説してきましたが、調剤未経験者が転職で失敗しないためには、どのように職場探しすれば良いのでしょうか?

ここでは、当サイトの執筆者でもある “現役の転職エージェント” に職場選びのポイントをお聞きしたいと思います。

 
 現役の転職エージェント
 
 

調剤未経験の方の職場選びで一番大事なのは、『調剤未経験でも歓迎していただける環境(状況)かどうか?』という点です。
調剤未経験で入社して一番多い苦労は、「きちんと教えてくれない」「調剤が出来る前提で仕事を振られる」というものです。


 

筆者

 

まさにその通りです!
私も医療用医薬品についてはろくに教えてもらえないまま、ひたすら調剤をやらされました…

エージェントに言われた「大手なら教育体制が整っている」という言葉を信じて、未経験でも大丈夫かどうかは事前に確認してませんでしたね…


 
 現役の転職エージェント
 
 

そのような失敗をしないためにも、面接する就業先が調剤未経験者でも歓迎している状況なのかを事前に見極める必要がありますね。

調剤未経験薬剤師の職場選びのポイントは、次の5つです!

調剤未経験薬剤師の職場選びのポイント

  • 職場が調剤未経験を歓迎してくれる環境か、事前にエージェントに確認しよう
  • 面接する人事担当者に調剤未経験でも歓迎か確認しよう
  • 職場見学をおこない、現場の様子を確認しよう
  • 面接に同行してくれる転職エージェントを利用しよう
  • エージェント選びをしっかりとしよう【最重要】

『調剤未経験でも歓迎している職場なのかどうか?』ということを事前に確認するためには、紹介会社のエージェントだけでなく、「面接する企業の人事担当者」「職場見学した際の現場の方」にもあらかじめ確認しましょう。

面接時には人事担当者に「調剤未経験だけど、教えてもらえる環境かどうか?」ということを直接聞いておきたいですね。
ただし、面接する人事担当者の中には、あまり現場のことを理解していない人もいます。

職場見学を行って、現場の方の意見も聞いておきましょう。
職場見学の手配は、転職エージェントに頼めば対応してくれます。

このエージェント選びは非常に重要です。

求職者さんが「未経験でも大丈夫かどうか」ということに対して、エージェントが事前にきちんと求人企業側に確認していなかったり、伝えていなかったりするケースもあるからです。

デキるエージェントであれば、求人企業に対して電話やメールで事前に「調剤未経験の方ですが〇〇な強みがあります」と伝えたり、面接前に「調剤未経験という部分で求職者の方は心配しているので、そのあたりについて面接でヒヤリングや確認お願いします」と、求職者が調剤未経験であることを事前確認しておくものです。

しかし、ダメなエージェントは、これら本来伝えるべきところをきちんと事前説明せずに適当に面接をセッテイングしてしまします。
結果、面接の時や入社後に「あれ?調剤のやり方しらないの??」となってしまうケースもあるのです。

このように、エージェント選びは非常に重要なので、次の項で解説していきます。

調剤未経験薬剤師の転職エージェント選び

薬剤師の転職では、本人の経験や能力以上に、エージェント選びが成功のカギを握っています。エージェントの能力や相性次第で、転職の成功と失敗を大きく分けてしまうためです。
特に、調剤未経験の場合では、通常の注意すべきポイントに加えて、次のようなポイントにも気をつけましょう。

面接同行サービスを行ってくれる転職エージェントを利用する

転職エージェントに面接同行してもらえれば、『調剤未経験でも大丈夫か』ということは面接の場でしっかりと確認することができますし、言いにくいことも同席しているエージェントが代わりに聞いたり伝えてくれたりしてくれるので安心です。
調剤未経験の方は、面接同行サービスを行ってくれる転職エージェントの利用をオススメします。

ファルマスタッフは面接に必ず同行してくれます。
また、調剤未経験の方の場合、不安も多くあると思うので、対面でのやり取りを重視するマイナビ薬剤師もオススメです。
マイナビ薬剤師も依頼すれば面接同行もしてくれますし、職場見学の機会も積極的に提案してくれます。

まず面接に行ってもらおうとするエージェントには要注意

「調剤未経験でも大丈夫かはわからない、とりあえず選考受けて聞いてみよう」など、目の前の不安に対する返答ではなく、まず面接に行ってもらおうとするエージェントには要注意です。

「人が足りず、今なら高年収が出る薬局がある」など、求職者側が未経験にもかかわらず、高年収が出るというところのみ強調して面接に連れていこうとするエージェントにも気をつけましょう。

具体的な根拠を示し、求職者のペースに合わせてくれるエージェントを利用しよう

提案した求人に対して、「なぜオススメなのか?」という点で、実際のデータや事実、エピソードをもとに提案することができるエージェントは、非常にオススメです。

特に、調剤未経験で転職する場合には、わからない事が多くて転職に対してとても慎重になる方が多いです。求職者の方の「慎重さ」にペースを合わせてサポートしてくれるエージェントを利用するようにしましょう。

まとめ

調剤のスキルは、服薬指導の対人業務と、薬剤の用法や用量、相互作用、ピッキングなどの対物業務に分けられます。

対人業務については経験を積んでいくことで自ずと成長していきますが、対物業務については自分で勉強をしていかなくてはなりません。

記事の中ではネガティブな内容を中心に触れましたが、完璧にすべてを覚えなくても、勉強をしようという心構えがあればなんとかなります。

仕事に慣れるまではある程度プライベートの時間を割いて勉強をしていれば、周りの先輩薬剤師さんも手助けをしてくれるものです。
私の場合も、転職当初はいろいろと苦労をしましたが、自主的に勉強をしていったおかげで、次第に周りの先輩薬剤師からも認めてもらえるようになりました。

未経験者はスタートでは苦労することもありますが、薬剤師は患者様と同じ目線で治療に当たれる仕事なので、やりがいを持って頑張っていきましょう!

調剤未経験の薬剤師にオススメの転職サイト

オススメ1 ファルマスタッフ

ファルマスタッフ
高年収・キャリアアップを叶えやすい上に、紹介先にも詳しく頼れる転職サイトです。

厳選された求人ばかりのため転職後に不満が出にくく、マッチング後の離職率は業界内で低い方です。

ファルマスタッフは業界トップクラスの調剤薬局の子会社なので、調剤薬局の業務や実情に詳しく、面接にも必ず同行しれくれます。

ファルマスタッフのエージェントは、年収や勤務条件の交渉を、かなり粘り強く頑張ってくれます。
他社で紹介されて希望が叶わなかった求人が、ファルマスタッフに交渉してもらって希望が合うようになったという実例もありますよ。

ファルマスタッフの詳細を見る
公式サイトを見る

オススメ2 マイナビ薬剤師

マイナビ薬剤師
「求職者のニーズにベストマッチする求人を見つけること」を重視しているため、転職者の満足度が高い転職サイトです。

親会社が大手人材関連企業なので、大手企業との繋がりが太く掲載求人数も多いですが、20~40店舗の中堅チェーンや個人薬局にもシッカリ営業しているので、幅広いジャンルの求人があります。

求職者からヒアリングした希望と、企業から収集した情報の2つを活かし、求職者・求人先の希望をしっかりマッチさせることから、実際に求職者に人気がある転職サイトですよ。

マイナビ薬剤師の詳細を見る
公式サイトを見る

この記事の監修者


はやと

人材エージェントで10年以上勤務(人材派遣、人材紹介)。薬剤師専門のエージェントで責任者として勤務。キャリアコンサルタントとして、薬剤師の転職サポートを年間100名、合計500名以上実施しており、現在は大手薬局やドラッグチェーンの人事担当や採用責任者の方と日々やり取りしています。趣味はマラソン。

転職エージェントが語る転職に成功する薬剤師と失敗する薬剤師の違い

転職に成功する薬剤師失敗する薬剤師の違い

薬剤師生活において、1度や2度の転職自体は珍しくありません。
でも中にはせっかく転職したのに、新しい職場に満足できず、転職を何度も繰り返してしまう人も…。
転職エージェントとして働いていた筆者が、『転職に成功する薬剤師』と『転職に失敗する薬剤師』の特徴を、事例をもとにお伝えします。
転職エージェントを有効利用して転職を成功させるコツもまとめてありますので、転職を考えている方はぜひチェックしてくださいね。
転職エージェントが語る転職に成功する薬剤師と失敗する薬剤師の違い


「紹介会社」「求人企業」の両面から、薬剤師の転職業界に関わってきた筆者が知る薬剤師の転職サイト10社について、実際にお会いした求職者さんの感想と他社出身のエージェントから聞いた業界内の評判を元、オススメの転職サイトをご紹介します。
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ヤス

ヤス

製薬会社MR→ドラッグストア→調剤薬局と2度の転職を経験。 現在は都内の中規模調剤チェーンで管理薬剤師をしています。調剤業務だけでなく、地域活動や講演活動にも奮闘中。得意な科目は小児科と精神科、婦人科など。趣味はドライブとスノーボード。

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