薬剤師5大転職理由

施設調剤と薬剤師の残業時間の関係について

 

大手調剤薬局法人が集中率を下げるため、処方箋付け替えの不正を行ったのは記憶に新しい所です。
その背景には、処方箋の集中率を下げ、薬局の粗利益を確保したいという薬局側の思惑があります。

不正に走るのは言語道断な行為ですが、処方箋の集中率を下げるための手段として、施設調剤を取り扱う薬局が増えてきています。

しかし、この施設調剤の処方箋。薬剤師にとっては業務を大きく圧迫し、残業を増やす原因となる大変な曲者でもあります。

そこで今回は、この施設調剤と残業の関係についてお話したいと思います。

処方箋の集中率と施設調剤の関係

処方箋の集中率とは

平成28年度改定にて、調剤基本料の算定要件に処方箋の集中率が記載されました。

集中率とは、受付した処方箋枚数全体に対する、特定の医療機関からの処方箋枚数の割合を指します。

良く見られる、病院のすぐ近くにある門前薬局は、この集中率の高い薬局です。

調剤基本料は、この集中率と処方箋の受付枚数により、調剤基本料1~3の3つに分けられました。
厳密には、さらに2つ区分がありますがここでは省略します。

大手調剤薬局法人、あるいは法人の規模は小さくとも受付枚数の多い薬局では、集中率が高いほど調剤基本料が低く設定されています。

例えば、同一法人全体で処方箋受付回数が月4万回を超える場合、調剤基本料は次のようになり、粗利益へ大きな影響があります。

どの薬局も集中率が95%を超えてくるならば調剤基本料は20点(200円)。 集中率が95%以下なら調剤基本料は41点(410円)

施設調剤が注目される理由


近年、国民の高齢化によりサービス付き高齢者住宅(通称サ高住)、グループホーム、老人保健施設などが増え、調剤ニーズが高まっています。

集中率を下げる為、一番手っ取り早い「高齢者向け施設入居者」の処方箋調剤(以下、施設調剤)の獲得を目指す薬局が増えているのです。

高齢者向け施設と薬局双方に利益のある話でもあります。

ただし、現場に目を向けると、施設調剤を引き受けている薬局は非常に忙しくなり、休憩時間の圧縮や残業を発生させてしまう可能性があります。

施設調剤により忙しくなっている薬局の実態

調剤基本料のアップのため、1人薬剤師の店舗でさえ施設調剤を応需する例が見られます。

施設調剤が業務を圧迫するポイントは、次の2点です。

  • 10~30人分などのまとまった数の処方箋が一気にくる
  • 受付が、外来の診察が終わった正午と夕方16時前後に集中するので、昼休みと外来のピークに重なってくる

本来であれば、薬歴記入などの業務をこなす時間帯に調剤に追われるため、受付枚数が少なくても薬歴記入にかけられる時間が少なくなり、昼の休憩も取れなくなってきます。

5分で食事をして調剤に戻る薬剤師をよくみかけます。

加えて、施設職員による出来上がった薬の受け取り時間が、当日翌日朝で依頼してくる所も多いので時間に余裕が無く、外来の薬歴記入が後回しになる事もあります。

十分な増員や薬のお渡しまでの数日の猶予が無ければ時間的に厳しいでしょう。

老健の指示箋と忙しさの関係


さらに、介護老人保健施設(以下、老健)の指示箋を受け付けていると、輪をかけて忙しくなります。

老健とは、要介護認定を受けた患者が、「自宅へ戻るためにリハビリを中心とした医療ケアを受ける病院」と「自宅」の中間に位置付けられた施設です。

老健の指示箋を受け付けると忙しくなる理由

この老健の指示箋の仕事が増えても、構造的に利益が出せないために薬剤師の増員が難しいというのが、忙しくなる主な理由です。

指示箋は保険診療ではないので国が定めた公定価格がありません。慣習として薬価手数料だけです。

老健と薬局の合意で価格が決められはしますが、基本的には安く買い叩かれます。

老健としては安くて配送に融通が利くところを選んできます。
薬局側としては労力に見合わないので、大げさにいうとボランティアみたいなものです。

一方で処方箋の場合は、調剤基本料、調剤料、指導料、各種加算などを受け取れるので粗利益が高く、薬剤師を使うコストを賄えます。

指示箋の粗利益は良くて処方箋の1/3以下です。薬剤師を増員して取り組める仕事ではありません。

かつ入居者は超高齢者の為、薬の飲み込みが難しい人ばかりなので、飲みやすくする工夫をするためほとんど一包化か錠剤の粉砕です。

分包紙や在庫など必要経費で、指示箋の粗利益は相殺され時間もかかる…といった状況になります。

まとめ

施設調剤を応需している薬局で働くのであれば、薬剤師を増員して利益をとり、処方箋調剤より優先する理由を持ち合わせている薬局で働きたいものです。

経営者の対応の仕方次第では、十分ブラックな職場になりえるのが施設調剤を応需している薬局です。

施設調剤と外来調剤の担当を分けるシフトにするなど、薬剤師の配置に配慮がなされているか事前に確認しておきたいところですね。


 
 
 
 

その他にも調剤薬局での残業の原因にはいろいろとあります。

その会社の出店計画であったり、薬局内での年齢層の構成であったり、処方箋単価との相関関係など様々です。

それら、調剤薬局の残業の原因となるものを一覧にまとめました。
興味のある方は是非ご覧くださいね。
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イッシー

イッシー

病院薬剤師から調剤薬局に縁故採用で転職するも、とんでもないブラック企業だったことが判明。その後薬局を立て直して大手に売却。エリアマネージャーまで昇格するも、ワークライフバランスを見つめ直し、中規模調剤チェーンに転職。(そのときの転職体験談はこちら)現在は面対応薬局で患者様への服薬指導に全力を注ぐ。

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