薬剤師のお仕事データ

面対応の薬局ってどんなとこ?その特徴と将来性

 

近年増えてきた面対応の薬局。
病院やクリニックの門前薬局と違ってどのような特徴・将来性があるのでしょう?

  • どのようなお客さんがやってくるのか?
  • 在庫が嵩んで利益率は悪くない?

このような疑問もあるでしょう。
そこで今回は、面対応の薬局というのはどのような薬局なのかをご説明したいと思います。

面対応の薬局の特徴

面対応の薬局とは、複数の医療機関から処方せんを応需しており、一つの医療機関の処方せんに売り上げを依存していない薬局を言います。

一般用医薬品生活用品も一緒に売っている形態の薬局が多いです。
全国55000店の薬局のうち、面対応の薬局は23.3%を占めており、病院の目の前にあるいわゆる門前薬局の73.0%に比べると少数派です。
(出典:厚生労働省患者のための薬局ビジョン実現のための実態調査報告

面対応の薬局はどんな立地か

面対応の薬局は、医療モール内や病院の目の前にはありません。より多くの患者様に利用してもらうため駅前の人通りの多い場所や住宅街にあります

面対応の薬局にはどんなお客さんが来るか

  • 薬局の近所に住んでいる方
  • 薬局の近くに職場があり、通勤時に立ち寄る方

この2パターンがメインです。
患者様が複数の医療機関にかかっているときは、まとめて処方せんを持ち込むことが多いです。

薬局を訪れる患者様の年齢層は、薬局の所在地の年齢構成に偏ってきます。

パターン1.オフィス街にある場合


薬局がオフィス街にある場合は、住宅街にある薬局に比べて患者様の年齢層が若い傾向にあります。
薬局の近くに職場がある人は、通勤経路にある薬局に処方せんを持ち込み、薬を受け取って帰宅します。
信頼関係が出来てくると、薬が無くとも後日受け取りなど柔軟に対応できます。

パターン2.住宅街にある場合


薬局の近所に住んでいる方のうち、薬局の半径500m以内に住んでいる方は固定客になってくれる可能性が高いです。

高齢のご両親が薬局の近くに住んでおられる場合は、代理来局というパターンも多いです。
ご両親に代わってご家族の方が、処方せんを面対応の薬局に持ち込み、薬を受け取られるというものです。

面対応の薬局、門前薬局との違い

面対応の薬局は患者様の待ち時間が短い

面対応の薬局では、門前の薬局に比べて待ち時間が短くなるのが特徴のひとつです。

面対応の薬局は事前に患者様からのFAXで処方せんを受け付けることが出来ます。
患者様の薬局までの移動時間の間で調剤ができるのです。


患者様の自宅が近いと後日受け取りなどの対応が柔軟にできるので、その分服薬指導にも時間をかけられます

大きな病院の門前薬局ほど混雑して待ち時間が長い傾向がありますので、門前薬局から流れてくる患者様がちらほらいます。

介護タクシーや付き添いの方がいる人は便利です。

面対応の薬局は患者様をより身近に見れる

面対応の薬局もうひとつの特徴は、門前薬局に比べて患者様をより身近に見る事ができる事です。

面対応の薬局は、

  • 軽い風邪や腹痛
  • 鼻炎程度なら治療できる一般用医薬品
  • 健康食品
  • オツムなどの介護用品
  • ガーゼなどの衛生用品

など、物販が充実していることが多いです。

物販が充実しているため、処方せん調剤以外でも患者様と顔を合わせる機会があります

患者様との関係

何度も顔を合わせていくと、患者様は薬剤師に困った事や疑問を相談しやすくなるものです。

いろいろな病院に通っている患者様の薬の飲み合わせや、健康食品の影響、食事の内容などについて薬剤師からアドバイスが受けられるのです。

そのような薬剤師との会話で、患者様の薬物治療への理解度がだんだんと身についてきます

先ほど紹介した、高齢の両親の代理で薬を受け取りに来るご家族は、両親の健康に関する心配事も多く、ご本人の生活の様子を客観的に見ていらっしゃいます。
貴重な情報を薬剤師に教えてくれることがあり、服薬指導が充実します。

ご家族からの情報で、血糖値が高いのは、自分専用冷蔵庫を夜中に漁って間食しているのが原因だったという方もいました。

面対応の薬局の集客の仕方

集客にも薬剤師ならではの工夫が必要です。
面対応の薬局は門前の薬局と違いって利益の見込みが立てづらく、すぐに軌道にのせるのは至難の業と言えます。

処方せん調剤のリピーター化には服薬指導スキルは必須です。面対応の薬局が集客できるかどうかは薬剤師の腕次第とも言えます。

面対応の薬局の収益性


処方せん単価が8000円~11000円と仮定した場合、家賃や経費や人件費などの固定費と、粗利益が釣り合う損益分岐点は、処方せん1日18~22枚位です。

この枚数でおよそ粗利益はゼロですから、処方せん調剤専業だとこれ以上の枚数の処方せんが来ないと利益は出ません。

1日30枚ほどのペースには載せたいところです。

流行っている面対応の薬局は1日当たり100枚以上の処方せん枚数を受け付けます。
人口密集地や、周辺の複数の医療機関からほど良い距離の薬局、あるいは過疎地の薬局だとこれくらいの来局数のところがあります。

面対応の薬局の営業時間

このように流行っている面対応の薬局はリピーターが付いており、特定の医療機関の診察時間に営業時間を合わせてません。
月曜日から金曜日まで9時から18時、土曜日も開局している所が多く、営業時間が長いだけ売り上げが良いのです。

面対応の薬局の在庫

面対応の薬局は1ヵ月当たり60~100件ほどの医療機関からの処方せんを受け付ける為、病院の目の前にある門前薬局の2倍から3倍の薬品数を備蓄します。

面対応の薬局の多くは、急にこれだけの在庫を抱えられるわけではありません。

開業時は一般用医薬品や生活用品や化粧品の物販から初めて、地域に顔なじみを作るための集客をしていきます。
その後に処方せんによる保険調剤を始めているパターンが多いです。

ゆっくりと利益を出して、備蓄医薬品数を数年または10数年かけて増やしています。

こういうところは十分に利益が出ています。
その代わり、豊富なキャッシュで在庫と固定費を抱えて黒字化を待つなど、根気が要ります

面対応の薬局の将来性


門前薬局では総合病院の前にない限り、経験できる処方の分野がどうしても狭くなります。
この点、面対応の薬局では様々な処方せんを調剤できる環境です。

薬剤師には良い意味で専門がなく、受け付けた処方せんは正当な理由がない限り調剤しなければならないので必死に学ぶには良い機会です。

公費医療や難病の治療などに関する保険の知識も幅ひろく正確に必要なので、なんでもできる薬剤師を目指すなら、流行っている面対応の薬局は最適な環境でしょう。

ただし、高度ながん治療などは大きな病院の門前薬局の方が勉強になると思います。
医療用麻薬によるがん性疼痛の治療など、終末期の病態の患者と接する機会が多く、より高度の知識が求められます。

今後の薬局に求められること

国の方針としては、自宅から半径500mほどの範囲の地域で様々な医療従事者や介護従事者などが連携する構想を打ち出しています。

薬局に求められるのは、患者様一人ひとりの薬物治療を全て把握して薬害を減らし、かつ治療効果を上げることにあります。

面対応の薬局に役割を期待していることでしょう。
しかし、門前であっても面対応の薬局であっても、患者様の安心できる選択肢があれば、どちらにこだわらなくても良いと思います。

門前薬局

がんや難病などの生命や生活の質の危機に瀕した患者様の治療

面対応の薬局

薬物治療の見直しの一環で減薬生活習慣の改善、介護との連携を通じた生活の質の向上を目指す

このような住み分けができるかもしれません。

今後は、面対応の薬局の相対的な割合は増えるかもしれませんが、それは人口減少による患者様の減少、後継者不足による門前薬局の廃業による要因が大きくなってくるように思います。

まとめ

面対応の薬局の薬剤師には、薬物治療の包括的な管理が期待されています。

  • 他の医療機関との治療薬の重複チェック
  • 併用できない組み合わせ
  • 互いに効果を減ずる組み合わせ
  • 効果を出しすぎる組み合わせ
  • 患者様の状態による薬の用量調節

などの業務です。

将来これらの業務は、マイナンバーと人工知能の組み合わせなど、何らかの技術革新により薬剤師にとって代わる可能性があります。
患者様自身が行えるようになるかもしれません。

患者様の訴えや苦悩を傾聴して信頼関係を築き、治療に不安なく挑めるように支援する事
これだけは薬剤師にしかできない事だと思います。
ここに薬剤師の大きな付加価値があり、ファン化を望む面対応の薬局の活路があると思います。

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イッシー

イッシー

病院薬剤師から調剤薬局に縁故採用で転職するも、とんでもないブラック企業だったことが判明。その後薬局を立て直して大手に売却。エリアマネージャーまで昇格するも、ワークライフバランスを見つめ直し、中規模調剤チェーンに転職。(そのときの転職体験談はこちら)現在は面対応薬局で患者様への服薬指導に全力を注ぐ。

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