今後の薬剤師

転職市場における薬剤師の市場価値、診療報酬改定後も輝けるか

 

薬剤師の世界は、売り手市場と言われています。
転職市場における薬剤師の市場価値は高く、比較的好条件で転職を行うこともできるでしょう。

しかしながら、度重なる診療報酬改定などにより、薬剤師に求められてくる役割は少しづつ変化してきています。

それら国の方針なども踏まえたうえで、自分には現在どの程度の市場価値があるのか、どうすれば市場価値を高めることができるのかについて、ご説明させていただきます。

薬剤師としての自身の市場価値を知る方法


薬剤師としての市場価値は、自分ではなかなか測ることができません。

転職経験豊富な方から、客観的に見てもらう必要があるのです。

薬剤師転職を多く扱う転職エージェントであれば、同じようなバックグラウンドの方がどのくらいの条件で転職を成功させているのかを経験上知っています。

転職サイトに登録をして、今のキャリアで転職を行った場合に、どのくらいの年収を目指せるのかということを聞くと良いでしょう。

また、大手の調剤チェーンやドラッグストアチェーンを受けることでも、自分の市場価値を知ることが出来ます。
今の自分ならどのくらいの年収が出るのか、参考までに受けてみると良いでしょう。

転職市場で市場価値のある年代

転職市場においては、30代が求められている

転職市場においては、多くの場合30代が価値のある年代となります。

20代ではまだ若く、新卒以外であればもう少し経験を積んだ薬剤師さんが欲しいと考えられます。

40代を超えてくると高いお給料を求められる反面で、体力的にも下降してくるので、忙しい店舗などでは厳しくなってきます。

また、薬剤師の世界ではこの限りではありませんが、一般的な考え方としては役職のピークは55歳と言われています。

40代ではそのラインまで10年前後しか残っていないので、これからの薬局を担ってもらう人材としては、やはり30代が求められるのです。

薬剤師の市場価値に男女差はあるか


では、転職市場における市場価値としては、男女差はあるのでしょうか?

男女雇用機会均等法の兼ね合いから、性別を指定した募集は、基本的には認められていません。

もともと女性比率が高い業種であることもあり、男女で合否を分けるということは、実際にもほとんどありません。

しかし、小さい規模の薬局では、男性の方が必要とされることもしばしばあります。

  • 育児の負担が小さい
  • 地方への転勤が受け入れられやすい
  • 個人宅の在宅など、防犯上リスクがある場合にも任せやすい

など、男性であることのメリットがあるため、人数が限られる薬局では男性が求められているのです。

最近では薬学部を卒業する男性も増えましたが、もともとは女性比率が高かったため、男性が絶対数として貴重ということも関係しているのです。

市場価値のある薬剤師さんはどのような人か

薬剤師としての市場価値を考える上で重要となるのが、国の方針、その中でも診療報酬改定の内容です。

詳細はこちらの「H30年診療報酬改定によって、今後は薬剤師の転職が厳しくなる!?」にて説明しているので詳しい内容は省略しますが、最近の診療報酬改定にて掲げられているテーマは“モノからヒトへ”です。

これまで以上に対人業務が重要になってきます。

これらをふまえて、今後も好条件で転職できるような市場価値のある薬剤師は次の通りでしょう。

1複数診療科の経験のある薬剤師

かかりつけ薬剤師として業務を行うに当たって、複数の診療科に強いことは、強みとなります。
求職者シートにも「複数診療科経験あり」と書くことができるので、転職を有利に進めることが出来ます。

2管理薬剤師の経験のある薬剤師

管理薬剤師が不足している薬局では、管理薬剤師経験がある方を募集しています。

スタッフの管理なども任せることができる薬剤師さんであれば、市場価値は高いと言えます。

また、処方箋枚数の多くない薬局では「常勤の管理薬剤師+パート」で運営していることがほとんどです。
管理薬剤師の経験があることで、転職先の薬局の候補も増えるのです。

薬剤師の方は一般的にスキルアップに熱心ですが、数値に強く、管理能力に優れる薬剤師さんは希少であり、非常に市場価値が高いといえるでしょう。

3在宅の経験のある薬剤師


自身の経験のない診療科の科目の薬の勉強をしたいのであれば、独学で勉強していくことはできます。

しかし、薬剤師が在宅医療を行う際に必要となってくるスキル・知識というのは座学で身に着けることが難しく、経験がものをいう世界です。

普段使用することのない、バイタルサインフィジカルアセスメントの知識。
口頭での説明が中心となる薬局での服薬指導と違い、残薬や飲み忘れ等の状況を患者様のお宅で確認しながら行う服薬指導
介護が必要な患者様を相手とすることが多いため、薬剤師であっても必要となる介護の知識やスキル

これらは実際に在宅業務に携わったことのない方には身に着けることのできない知識・スキルであるため、在宅経験者であるというのは市場価値が高く、集中率を下げるために在宅業務を増やしたい大手チェーンなどにおいても、優遇されることでしょう。

4後発医薬品の置き換え率を高められる薬剤師

診療報酬改定の影響で、後発医薬品の使用量を高めることが薬局の利益にとって重要になってきました。

そのためには、医師との日ごろの人間関係が大切になってきます。
医師と薬剤師であっても「人と人」なので、誠意を持って接していけば、ある程度の話は聞き入れてもらえるでしょう。
本稿の筆者の場合、週に1回は医師の元を訪問し、雑談や薬の話をするようにしています。

日頃ほとんど医師の元に顔を出さないのに、「○○を後発に変えてくれ」とお願いしても、聞き入れてもらえないのは無理もないのです。

もう一つ、後発医薬品を使用するときに重要となってくるのが、ジェネリックメーカーの選定基準です。
自主回収が多いメーカー、発売後すぐに一時突然供給停止になるメーカーもあります。
筆者の薬局では特定の数社は採用しないように気を付けています。
それらジェネリックメーカーの特徴を見分け、安定供給できる後発医薬品を選り分けることができるのも、市場価値の高い薬剤師といえるでしょう。

5研修認定薬剤師や実務実習指導薬剤師などの資格を有している薬剤師

薬局にとって利益となる資格を持っている方は、転職時に有利となるでしょう。

現行法では、薬局に直接的な利益をもたらす資格は、研修認定薬剤師実務実習指導薬剤師の2つです。

今後は、健康サポート薬局の研修やその他の専門薬剤師の資格などがかかわってくる可能性もあるので、臨機応変に資格を取得していくと良いでしょう。

6服薬指導のスキルの高い薬剤師

かかりつけ薬剤師在宅医療と並んで今後増えていくであろう“面対応”の薬局。

門前薬局との競争にさらされる面対応薬局では、リピーターを獲得するために、患者様に満足してもらえる服薬指導に全力を注いでいます。

患者様との信頼関係を構築するためのコミュニケーション能力はもちろんのこと、薬の専門家として信頼してもらえるだけの知識と説明能力が必要になってきます。

これらの能力を兼ね備え、多くのリピーターを獲得できる薬剤師さんの市場価値は非常に高く、面対応薬局としては喉から手が出るほどほしい人材といえるでしょう。

7大手のノウハウを持っている薬剤師

  • 大手で本部に在籍して経営に携わっていたことがある
  • エリアマネージャーとして複数店の運営をしていた
  • 新規店の立ち上げ経験がある

このように、大手のノウハウを持っている薬剤師さんは市場価値が高いと言えます。

今後も大手調剤薬局チェーンに対する締め付けは強くなると考えられているので、大手に勤務する薬剤師さんが転職市場に現れる機会は、増えていくでしょう。

8柔軟な勤務に対応できる薬剤師

一人薬剤師、在宅、精神科や小児科、土日勤務、地方勤務など、敬遠されやすい業務に対しても柔軟に対応してくれる薬剤師さんは、転職時に優遇されることが多いでしょう。

薬剤師としての市場価値を高める方法

スキルアップとキャリアアップで市場価値を高める

薬剤師としての市場価値を高めるためには、スキルアップキャリアアップが重要となります。

スキルアップで市場価値を高める

スキルアップでは、複数の診療科を経験する、資格を取得する、新しい業務(在宅など)を勉強するなど、薬剤師としてのスキルを高めるようにしましょう。

キャリアアップで市場価値を高める

キャリアアップでは、管理薬剤師としての経験を積む、エリアマネージャーを目指す、経営に携わるなど、薬剤師+αの知識を付けていかなくてはなりません。

転職時のアピールで市場価値を高める

スキルアップとキャリアアップを果たしたとしても、それをうまくアピールすることが出来なければ、転職の成功はありません。

面接担当者に対して自分の長所をアピールする能力も、身に着けるようにしましょう。
※当サイトでも薬剤師の「受かる履歴書の書き方」「受かる職務経歴書の書き方」、「転職面接の対策」などの記事をご用意しているので、ぜひ一度目を通してみてください。

転職エージェントを利用して市場価値を高める


自己アピールがあまり得意でない薬剤師さんも見えるでしょう。

そのようなときには、転職エージェントに自己アピールの仕方を教えてもらうといいでしょう。

自身のキャリアや経歴を転職エージェントに伝えることで、

 
 
 
 

アナタの経歴でしたら、〇〇の部分をアピールできれば、こちらの薬局さんに興味を持ってもらえますよ。

というように、ご自身のキャリアの中でも採用企業が興味を持ってくれそうなスキル・経験を掘り出してくれるのです。

電話だけでの対応ではなく、直接会って求職者の人柄を確認する、そのようなヒアリング能力に優れた転職エージェントを利用したいところです。

ご自身のこれまでのキャリアという“元手”を手に、転職という名のゲームにおいて元手を増やすことができるか、それとも減らしてしまうかは転職エージェントの腕次第でもあります。

転職エージェントの所属する転職サイト選びは慎重に行いましょう。

まとめ

市場価値の高い薬剤師の特徴をまとめると以下の通りとなります。

市場価値の高い薬剤師

  • 複数診療科の経験のある薬剤師
  • 管理薬剤師の経験のある薬剤師
  • 在宅の経験のある薬剤師
  • 後発医薬品の置き換え率を高められる薬剤師
  • 研修認定薬剤師や実務実習指導薬剤師などの資格を有している薬剤師
  • 服薬指導のスキルの高い薬剤師
  • 大手のノウハウを持っている薬剤師
  • 柔軟な勤務に対応できる薬剤師

あなたはいくつ当てはまりましたか?

市場価値は経験年数に応じて高まっていきますが、受け身ではある程度で頭打ちとなってしまいます。

自分ならどの程度の市場価値があるのか」ということをしっかりと見極めて、不足している部分は積極的にスキルアップしていきたいですね。

現在の職場で不足している部分の経験を積むのが難しい場合、それらの業務を経験できる職場に転職することで、将来的に自身の薬剤師としての市場価値を高めることもできるでしょう。

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ヤス

製薬会社MR→ドラッグストア→調剤薬局と2度の転職を経験。 現在は都内の中規模調剤チェーンで管理薬剤師をしています。調剤業務だけでなく、地域活動や講演活動にも奮闘中。得意な科目は小児科と精神科、婦人科など。趣味はドライブとスノーボード。

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