今後の薬剤師

H30年度診療報酬改定からみる、国が薬剤師に求めるコト

 

先日、H30年度の診療報酬改定が発表され、4月1日より実際に施行されることとなりました。

病院や薬局といった医療系の業種は、診療報酬や調剤報酬によって成り立っています。
この報酬の中には、様々な医療系職種に対する、国が求める役割が明示されています。

本稿では、H30年度の診療報酬改定を通じて、国が薬剤師に対してどのようなことを求めているのかを、考察・説明したいと思います。

H30年度診療報酬改定の基本的方針

改定に当たっての基本的な考え方として、

人生100年時代を見据えた社会の実現に向けて、地域包括ケアシステムを構築し、制度の安定性・持続可能性の確保と医療・介護現場の働き方を推進する

ということが挙げられています。

「社会保障審議会医療保険部会 平成30年度診療報酬改定の基本方針 より抜粋」

薬剤師においては、

  • 患者様を中心とした業務で薬物治療の安全性を確保すること
  • 地域包括ケアシステムを構築すること

これらにより、「どこに住んでいても適切な医療・介護を安心して受けられる社会を実現していくこと」が求められています。

その他にも、6年に一度の診療報酬介護報酬の同時改定である今回の改定では、医療機能の分化・強化、連携や、医療と介護の役割分担と切れ目のない連携を強調されています。
医療連携多職種連携によって、医療効率を高めていくことも重要となってきます。
より外に出ていくことが求められています。

H30年度診療報酬改定の傾向

H30年度診療報酬改定の特徴

H30年度改定における調剤の改定率は0.9%のプラスで、医科:歯科:調剤で「1:1.1:0.3」という従来からの比率も維持されました。
近年ではさまざまな不祥事も取り沙汰される中、薬剤師の仕事の意義に対する問いかけも多かったです。
中央社会保険医療協議会(中医協)や財務省、内閣府からも厳しい目を向けられた中でのプラス改定には、安堵の声も漏れました。

その一方で、大手調剤チェーンに対する風当たりは強く、大手チェーンを狙い撃ちにした改定でもありました。

大手チェーンのようにスケールメリットを生かして効率的に収益を上げるビジネスモデルは、今後はより難しくなっていくことでしょう。

H30年度診療報酬改定で、今までから大きく変わった箇所

H30年度改定では、従来から提唱されていた「門前からかかりつけ、そして地域へ」や、「モノからヒトへの業務シフト」をより色濃く反映したものとなりました。
基準調剤加算が廃止となった一方で、地域支援体制加算が新設され、取得要件として様々な項目が明言されました。

調剤料などの基本料における点数が減点となった一方で、薬剤服用歴管理指導料かかりつけ薬剤師指導料などの、薬学管理料としての部分は点数増となりました。
薬局で働く薬剤師にとっては、これらを意識した業務が求められているのです。

H30年度診療報酬改定からみる国が薬剤師に求めるコト

今後薬剤師に求められているコトは?

医薬分業の本来の目的は、薬剤師が医薬品の適正使用の為にチェック機能を果たし、患者様が安心・安全な薬物治療を受けることができるという点にあります。
薬剤師はかかりつけ業務を通じて、服薬情報を一元的かつ継続的に管理し、疑義照会処方提案を通じて多職種との連携を図らなくてはなりません。

これまでの薬剤師は調剤室での調剤など、患者様と直接接しない業務が中心でした。

今後は日々の相談業務などを通じて、患者様により積極的に関わっていくことが求められています。

これらの患者様を中心とした業務には、患者様との「より良いコミュニケーション」が必要となってくるので、コミュニケーション能力を高めることも重要となるのです。

これからの薬剤師はどのような経験・スキルを磨いていったらよいか

それでは、実際にはどのような経験やスキルを磨いていけばよいのでしょうか。

  • 薬物治療のスペシャリストとしての専門的な知識
  • 他の領域の経験など、様々な疾患や薬剤の知識
  • 薬の飲み合わせなど、処方内容のチェック能力
  • 患者様と接したり、多職種間で連携するためのコミュニケーション能力
  • 訪問看護ステーションの看護師やケアマネジャーとの、多職種間連携の能力

まずは日々の業務の中で、上記のような内容を意識していくことが重要となります。
これらは実際に挑戦することができれば一番ですが、機会が無い場合では本やインターネットでの学習、研修会に参加するなど様々な方法を選択肢に入れるようにしましょう。

まとめ

本稿でご説明させて頂いた通り、薬剤師のあり方は変わろうとしています。
次回の改定においても、患者様を中心とした医療に対する対人業務の点数は増加する一方で、調剤料などの対物業務の点数は減少するのではないかと考えられています。
これらに取り残されてしまうと薬局の収益につながらないだけではなく、薬剤師としての資質を問われかねないこととなってしまいます。

  • 専門性を高める
  • コミュニケーション能力を向上させる

といったことを意識して、今後の業務に当たっていくようにしましょう。

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ヤス

製薬会社MR→ドラッグストア→調剤薬局と2度の転職を経験。 現在は都内の中規模調剤チェーンで管理薬剤師をしています。調剤業務だけでなく、地域活動や講演活動にも奮闘中。得意な科目は小児科と精神科、婦人科など。趣味はドライブとスノーボード。

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