薬剤師の転職活動

病院薬剤師に転職するときに知っておきたいことのすべて

 

最先端の医療に関わり、薬剤師の職能を存分に発揮できる職場として新卒にも人気の病院薬剤師。
一旦は諦めたけど、やっぱり病院で薬剤師としてのやりがいを感じたい。そう思って病院に転職する方も一定数存在します。

そこで、調剤薬局から大学病院、そして中規模病院に転職したことのある筆者の経験を元に、病院の求人探しの注意点や、薬剤師が病院薬剤師に転職したいと思ったときに知っておきたいことを余すことなくご紹介したいと思います。

薬学生時代の実習時ではわからない病院業務のホントのところ

薬学部では病院での実習があります。そのため、病院業務未経験の薬剤師であっても、ある程度は病院の知識を持っています。
6年制出身であれば長期実務実習があるため、4年制出身者よりも詳しく病院のことを知っていることでしょう。

しかし、実際に働いてみると、実習のときとの違いがいろいろあるのではないかと思います。そこで、今回は、普段知ることのできない病院業務を奥の奥までご紹介しましょう。

病院業務の違い

病院はその役割や機能からいくつかの種類に分けることが出来ます。
高度急性期から慢性期における病院薬剤師の業務は驚くほどその『業務内容』が異なります。

そこで病院を「高度急性期・急性期」と「回復期・慢性期」の2種類にわけ、それぞれの病院薬剤師の業務を紹介しましょう。

高度急性期・急性期病院における薬剤師の業務

高度急性期・急性期では持参薬の鑑別・評価がキーポイントとなります。

高度急性期や急性期の病院では、患者さんの容態が著明に変化していきます。
そのため、ここで働く病院薬剤師は、その急性期医療に特化した役割が必要です。

緊急入院など患者さんの情報がほとんどない状況下において、素早くその時点で使用している薬剤を鑑別・評価しこれから行われる治療への寄与度を確認する必要があります。
これを迅速に行わなければ治療がスムーズに行われません。

入院が予定されている患者さんも同様です。
患者さんは抱えている病気を治療しに病院へ来るため、行うべき治療が出来なかったりストップしてしまわないように配慮する必要があります。
そのために病院薬剤師は、普段から服用している薬剤をきちんと把握し、治療の妨げにならないよう薬剤の休薬や代替薬の提案などを行います

回復期・慢性期病院における薬剤師の業務

回復期や慢性期の病院では、患者さんの状態は比較的落ち着いています。
そのため、薬剤が大きく変わることはほとんどありません。
ここでの薬剤師の仕事は、処方モニタリングを中心とした調剤業務がメインとなります。

一部では、副作用モニタリングなどの病棟業務を行っている病院もありますが、薬剤師の絶対数はまだ地域差があり、業務拡大がスムーズに行われていないのが現状です。
その結果、慢性期の病院の薬剤師は調剤などの中央業務がメインとなります。

では、回復期や慢性期の病院では薬剤の鑑別・評価の必要はないのでしょうか。

回復期や慢性期の病院の多くは、高度急性期や急性期の病院を経てきているため、ある程度薬剤の整理がされています。しかし、漠然と投与され続けている薬剤も多く存在します。そのため、患者さんに今の薬剤が必要であるかを再度確認することは必要不可欠です。漫然とした長期投与による薬剤の副作用もプレアボイドなどで多く報告されています

副作用のリスク回避は、飲み合わせを考えることのできる薬剤師が秀でた業務となっています。

夜勤・当直の実際

病院の違いに合わせて夜勤も体制が異なります。

高度急性期や急性期の病院は患者の変化に迅速に対応するため、夜勤や当直があります。
その頻度は薬剤師の数により様々ですが、月に1-3回の病院が大部分を占めるでしょう。

一方、回復期や慢性期病院では、夜間は病棟や外来に配置している薬剤や決まったセット処方を用いることが多く、薬剤師が夜に病院にいることはほとんどありません。
しかし、医療用麻薬など薬剤師が必須の場合もあることから、待機などの当番制を取り入れている病院が多くなっています。

当直と夜勤の違い

一般的には、夜間の薬剤部の管理をしている状態を当直、夜に朝と同様な業務を行っている状態を夜勤と分けることが多いです。

当直と夜勤をしっかりと分けている病院は正直少ないでしょう。呼び方の問題で、実情はその業務をどれほどこなしているかが重要になります。

業務量は夜勤が確実に多いです。当直は管理しているだけなので、連絡がなければ仕事をすることもありません。

また、その体制も一人で行うか二人で行うかで大きく異なります。
基本的に調剤・注射ダブルチェック体制をおこなっている病院が多く、薬剤師二人の目で薬剤を用意します。これを一人で行うときのリスクは、薬剤師であれば容易に想像がつくと思います。
しかし、薬剤師の人数が多くなかったりする場合は一人きりである病院もまだまだ多いです。その代り、一人体制でも大丈夫なように自動監査システムなどの機械でサポートしている病院が多いです。

人間関係の違い

薬学生だったころは、指導薬剤師をはじめとして医師や看護師などの医療スタッフも親切に対応してくれます。
では、働き出したらその関係性は異なってくるのか?
答えはノーです。

チーム医療と言われるように医師や薬剤師、看護師などの医療職種が各々仕事をしているだけでは治療が円滑に進むことはありません。
そのため、各職種はその間を取り持つために関係は良好です。学生としての他職種とのかかわりと薬剤師になってからの薬剤師のかかわりで大きな違いはないと言ってもいいでしょう。

薬剤師は薬の専門家として、医師や看護師から多くの質問を受けます。
些細な質問から治療に直結、またはその方針を変更するような大きな介入をします。
薬剤師は縁の下の力持ち的な要素が大きいですが、病院内でぞんざいに扱われるなどということもありません。

病院の未経験者に対する教育体制


病院業務未経験者の方が病院に転職するにあたりまずはじめに気になること。それは、未経験者に対する教育制度はどうなっているのかではないでしょうか。

病院業務は調剤以外にも注射、院内製剤、抗がん剤ミキシング・TPNミキシング、治験、病棟業務など多岐にわたります。
本稿の筆者の場合は病院に転職する前は、個人経営の小さな調剤薬局での経験しかありませんでした。そのため、病院の多岐にわたる業務を覚え、一人前に働いていけるのかどうか非常に不安でした。

しかし、この点では心配いりません。
どの病院でも新卒に対する教育制度が整っており、その延長線上で中途社員への教育体制も出来上がっています。

多くの病院では、薬剤師の業務レベルの均一化を図れるよう、各業務に対してマニュアルが作成してあります。
一通りの業務や院内の流れを理解できるまで指導し、一人で業務こなせるまで教育してくれます。それまでは当直を任せられるようなこともありません。
こちらの「調剤薬局から病院薬剤師への転職」の記事でも述べていますが、調剤経験のある薬剤師なら2カ月程度、調剤経験がなくとも4カ月もあれば一人前になることができます。

筆者の勤めた病院では、どうしても定められた期間内に習得できない場合は無理はさせず、その人に合わせた教育期間をもうけていました。

他職種とのマナー研修

病院では、薬剤師以外の他職種を交えてのマナー研修を行います。

病院には薬剤師以外にも様々な職種が一緒に仕事をしています。
そのため、マナーや法律、院内の決まりなども一緒に学ぶ必要があります。これらを学ぶ機会を与えることも病院の責務となっています。
集団学習やグループワークなどを盛んに取り入れている病院も少なくありません。

薬剤部内での教育体制

薬剤部としても薬剤部員のスキルアップのための教育には力を入れています。

先に紹介したマニュアルだけでなく、個人のスキルを向上させるために各病棟の症例や治療法を紹介する部内研修会を月に1-2回程度開催しています。
また、学会発表のサポートをし、成果が出れば論文を書いてみたり、海外の学会で発表するチャンスが巡ってくることもあります。
受動的に研修を受けるばかりでなく、やる気を出して能動的に働けるような環境づくりを目指している職場も多いでしょう。

病院薬剤師として高給を目指す方法


病院薬剤師として高給を目指すなら、地方の小規模病院がオススメです。

薄給といわれる病院薬剤師ですが、病院のタイプによっても、薬剤師の給与は差があります。一般的には、大学病院のような高度な医療を扱う特定機能病院では、多くの知識を得ることができる一方で、薬剤師の給与は特に安い傾向にあります。
国立病院やそれに準じた病院では公務員の扱いになります。公務員の俸給規定があるために給与は特に安くなりがちです。4年制時代には、初任給として15~18万円程度でした。

薬学部が6年制に移行してから病院薬剤師の初任給は200,800円に増額され、これまでの4年制に比べるとは給与は見直されました。しかし、調剤薬局やドラッグストアと比べると、まだまだ給与面では見劣りするのが現状です。
病院薬剤師の必要性も認められる中ですが、あまりに他の業種と給与が乖離していると病院薬剤師のなり手がいなくなってしまいます。そこで公務員の俸給規定がある国立病院を除いて、この200,800円に給与が上乗せされているという現状があるのです。
これは地方病院ほどその傾向が大きくなっています。

人気の低い地方の小規模病院では、薬局やドラッグストア顔負けの給与が設定されている場合もあります。

病院薬剤師の転職難易度

病院薬剤師への転職は狭き門と言われています。では、その転職難易度はどの程度なのでしょう?
転職の難易度を図る目安として、求人数、応募倍率、年齢の制限の3つと、その貴重な求人の出やすい時期はいつなのかをご説明します。

病院の求人数は少ないのか

新卒文化の根強い病院では、中途の求人数自体は少ないです。

しかし、病院は退職者の多い職場でもあります。
年収の低さや激務に耐えかねて、数年経験を積んで調剤薬局へ転職という方や、結婚・出産を機に退職する方。スキルアップ目的で数年単位の短期で働いてる人や、さらにステップアップして他の病院へ移る人も少なくありません。
規模の大きな病院では、業務拡大に伴い人員を増員しているところもあります。

このような理由により、毎年若干名の募集はされているものなので、常にアンテナを広げていれば転職のチャンスはあります。

病院薬剤師の応募倍率は高いか

応募倍率は病院によります。
規模が小さい病院や慢性期の病院は応募倍率は高くないですが、急性期の病院は高い応募が殺到します。

薬学生が学んでくる病院像は、ほぼ急性期病院や大学病院などの規模の大きい病院です。
そのため、地元の病院では思うような仕事が出来そうにない、自分がしたい仕事は大学病院にいかないとできないと思う薬剤師は多いです。中小病院や田舎の病院の人気がありません。

しかしここで、病院に就職して何がしたいのかを考えてみることも大切です。
自分がしたいことは本当に大学病院などの規模の大きい病院でしかできないのでしょうか。

病院薬剤師というやりがいある道を選んでいるのだから、急性期病院や大学病院などの大病院で働きたいという自分の希望が通らないだけで、病院薬剤師を諦めてしまうのはもったいないことだと思います。

病院薬剤師の転職に年齢制限はあるか

国公立の病院では、正職の登用試験を受ける資格があるのは30歳~40歳までの病院がほとんどです。アルバイトや産休要員では年齢に関わらず、病院で働いてみたいという人を受け入れている病院もありますが。

民間や独立行政法人の病院であれば、年齢制限を設けている病院はすくないでしょう。
これは、能力や資格を重視しているためです。ただ、40歳を超えて転職してきた方を見ていると、体力的にも、新しい知識やマニュアルを覚えることなども難しそうで、なかなか職場に慣れることも馴染むこともありませんでした。
病院によっては、タイミングやその病院の方針により採用される場合もありますが、働き始めてから本人も周りも大変な場合もあるかなと思います。

求人の出やすい時期はあるか


病院の中途採用は6~7月ごろに募集をかけ始めることが多いです。

しかし、近隣病院に薬剤師を取られてしまわないよう、あえて早めに募集をかけている病院も散見されます。そのため、規模の小さい病院や欠員の多い病院は募集を出すのが早い傾向にあります。募集がなければ中途採用も出たままになっているでしょう。

ボーナス後や年度末の薬剤師国家試験の合否発表時期などもねらい目です。新卒内定者の国家試験不合格者が毎年若干名おり、その欠員補充があるためです。

そうは言っても、年度の途中で病院を辞める人も少なくありません。上記以外の時期でも欠員募集が掛けられることは十分あり得ます。
産休要員などでの募集は随時ありますが、1年契約である場合が多いです。

病院薬剤師の求人の探し方


貴重な病院薬剤師の求人はどうやって探せばいいのでしょう。3つの方法を紹介したいと思います。

病院薬剤師会のHPを見る

各都道府県の病院薬剤師会には、その年の募集がある病院の求人情報が載っています。
そのため、就職・転職する地域がある程度決まっているのであれば、まずはその都道府県の病院薬剤師会のHPを参照してみることをオススメします。
病院薬剤師会のHPから該当の病院のHPにアクセスすれば詳細な求人情報を得ることが出来ます。

パートやアルバイトから正社員を目指す

どうしても病院勤務をしたい場合、パートやアルバイトから始めて正社員へのステップアップを狙うこともできます。いつ出るか分からない正社員の求人を待つより手っ取り早いです。
実際にアルバイトから病院に入り、欠員が出たところで嘱託職員になり、さらに数回試験を受けて正社員になったという方もみえます。

転職サイトを利用する

具体的な転職先の病院が決まっていない人には、転職サイトの利用をオススメします。
それは、自分で一つ一つ病院を探さなくてもいいことが最大のメリットです。条件の比較も簡単に行うことが出来ます。

誰かに紹介でもされない限り、転職先の病院が決まっていることはないでしょう。そもそも決まっていればその病院のHPだけをみていればいいのです。
転職サイトは、そうでない人が病院を見つけるために力を貸してくれます。

多くの薬剤師は、病院で働くと漠然としか決まっておらず、いろいろな病院の求人の中から条件がいいところに転職したいと思うものではないでしょうか。

しかし、自身で求人を探そうとしても、病院HPの求人覧を見るだけでは、ほしい情報が得られないことも多いです。
「給与面が気になる」「福利厚生を確認しておきたい」そう思っても自身で調べるのは難しいでしょう。

しかし、転職サイトを利用すれば、複数の病院の求人の中から、気になった条件を比較することができます

転職サイトはいくつかの選択肢をくれるだけでなく、その病院に決まるまで、求人情報や見学・面談などのアポイントまでこと細やかにアドバイスと協力を得ることが出来ます。
求職者としては、正直楽できるのでこれを使わない手はありません。

一方、病院HPを毎日見ながら、出るかもわからない求人情報を確認することは骨が折れます。
使えるのは使う。仕事をする上でも大切なことです。

病院薬剤師の面接アピールポイント


病院薬剤師の求人は少なく、その採用は狭き門というのはわかりましたね。
では、その貴重な求人を手に入れるためには、どのような面接対応をすればいいのでしょう。

転職理由をキチンと説明できるようにする

筆者が転職の試験を受けた時は、他にも4人の応募者がいましたが、転職理由をうまく伝えていない方は落とされていました

後日聞いたところ、前の職場を辞めた理由をきちんと説明が出来ないようでは、前職でどれだけ業績が良くても落とすには十分な理由になってしまうと言われました。

『この病院で資格を取得することを目標に頑張りたい』、『家庭の事情で前の職場を辞めてしまったが、薬剤師としてのやりがいを捨てきれない』など、転職に対して前向きな姿勢であることを伝えることが大切なのだと感じました。

一方、『ただなんとなく転職する』、『前の職場環境は自分に合わなかったから』など、転職する理由をうまく伝えていない、又はその理由が新しい職場でも同じような点で上司を不安にさせることを言っていた方は落とされていたそうです。

面接はその人を短時間で判断する必要があります。
面接の場でいくら取り繕っても、不意な質問や用意していた以上の回答をすると、その人の本質的な部分が出てしまいます。そのような事態になっても大丈夫なように、自分の転職理由についてしっかりと芯になるものをもつ必要があります。

病院選びのコツ


病院への転職で失敗しないために一番大切なのは、自分の薬剤師像に近い病院を選択することではないでしょうか。
例えば、がん専門薬剤師になって前線で活躍したいと思っても、慢性期病院ではまずなることはできません。どれだけ規模が大きくてもです。
服薬指導を行い、患者さんに寄り添った薬剤師になりたいと思っても、脳神経外科や脳神経内科のような病院では患者さんと話すことさえままならないでしょう。
そのため、自分が将来なりたい薬剤師になれる、または近づくことが出来る病院を選ぶ必要があります。

そのため、次の挙げる事柄を確認しながら、転職したい病院を探すといいでしょう。

急性期か慢性期、療養型の病院かの確認

病院が急性期か慢性期、療養型なのか。その違いによって、忙しさや業務内容は全然違ってきます。
急性期であれば、知識は増える機会は多いですが、忙しいです。療養型の場合は、同じ処方ばかりで成長が見込めないことも考えられます。

急性期病院

緊急性から扱う薬剤の種類も多く、オーファンドラッグなど希少疾病用の薬剤も扱うことになります。
これには、添付文章だけではなく、最新のガイドラインなどを駆使して治療をする必要があります。
必然的に薬剤だけでなく治療についても学ばなければなりません
最新の治療に触れたいのであれば、急性期病院はおすすめです。

慢性期病院

患者さんの病態の変動は少ないため、扱う薬剤の種類は少ないかもしれませんが、地域治療への貢献度は大きいです。
急性期を脱した患者さんはすぐに自宅に戻ることが出来るわけではありません。生活に支障がない程度まで状態を戻す必要があります。
医師不足が言われているなか、慢性期病院での薬剤師の存在価値は大きくなっています。
専門的な知識だけでなく、ジェネラリストな知識をもっている薬剤師は重宝されるでしょう。

ワークライフバランスを重視したいなら

育児と仕事の両立を考えるなど、ワークライフバランスも重視したい薬剤師さんには慢性期・療養型の病院がおすすめです。

急性期病院は忙しくて精神的ストレスも多いです。子育て中で毎日忙しくしているママ薬剤師さんなどにはキツイでしょう。
慢性期病院では迅速な判断を求められる場面も少なく、夜勤もない場合もあります。今の状況では急性期病院で働ける自信はないけど、臨床経験を積みたいという人にはオススメです。応募倍率も低いですし。
状態が安定している患者様が多いので、処方変更も少なく、気持ち的にも時間的にも余裕をもって仕事ができます。

単科や中小規模の病院も良いでしょう。夜勤がない場合も多いです。当番制でオンコールのこともありますが。
また、転職の際、産休や育休、時短制度の有無、それを利用している人の有無、利用しやすさなども調べておくと良いでしょう。

病院内での薬剤師の地位の確認

薬剤師の地位は年々高まってきています。
しかし、医師や看護師に比べるとその地位は高くないと言わざるを得ません。
病院によっては、糖尿病専門薬剤師でも糖尿病教室を行うことができないところもあります。看護部の力が強く、看護師が行っているのです。

このように病院内での薬剤師の地位が低いと、薬剤師としての職能を十分に発揮することができません。転職前にその病院での薬剤師の地位を確認しておきたいところです。

学会発表や対外的な発表・事業を他職種と合同で行っている薬剤部は力があると思ってもいいでしょう。

共同演者として名前があるということは、一緒に仕事をしているということです。薬剤部に力がなければ、薬剤部単独での仕事ばかりになっているはずです。
明らかに薬剤部だけでは事業が成り立たない糖尿病や肝臓、腎臓などの領域に薬剤師の名前が連なっていれば薬剤師の位置づけは低くはないでしょう。

その他には、チーム医療や病棟のカンファレンスに参加できているのか、糖尿病教室など任されているのか、薬剤師外来があるのかなどを聞いてみるといいでしょう。これらのことを任されていると、病院内で一目置かれていると思っていいです。

業務のローテーションはあるのか

業務ローテーションは病院で働くうえで死活問題となります。
病院の薬剤師はただでさえ行う業務量が多く、その種類も多岐にわたります。これが業務固定だと変化のない退屈な日々を過ごすことになるでしょう。

見学に行った時には必ず業務シフトについて聞いてみましょう。病院によっては何年もローテーションがないところもあります。

規模の大きな病院では、全員がすべての業務を満遍なく行うにはやや効率が悪いです。そのため異動も少なく、経験できない又は関わることが少ない業務も存在します。
しかし、規模の小さい病院では一人でいくつかの病棟を担当できたり、注射も内服もという風に幅広い業務が経験できます。

一人夜勤の有無

床数が多い病院の一人夜勤は過酷です。筆者は1000床近い病院の一人夜勤を経験したことがありますが、非常に大変でした。

夜勤では調剤も内服、注射、その中に麻薬や抗がん剤の調剤もあります。医師、看護師の対応も行わなければなりません。加えて、夜間に外来の調剤もあるので、かなりキツイです。

当直や夜勤は何人で行うのか、事前に確認しましょう。

電子カルテやオーダリングシステムがあるか

これらが導入されることで、業務の迅速化や正確な指示伝達に繋がり、業務が効率的に行えます。
転職先の必須条件とまでは言いませんが、導入されていたら便利だなという内容になります。

人間関係の確認も大事

自分の転職条件がある程度固まり、その条件に見合った病院があったとしてもそれだけで転職が成功するとは限りません。ではほかに何が重要なのでしょうか。それは、職場環境、つまり人間関係です。これらは実際に働いてみないとわかりません。

外部の人間に上っ面だけいい顔することくらい誰でもできます。薬剤師はまだまだ不足しているため、どの病院も余程その薬剤師に問題がない限り合格通知を出すでしょう。
しかし、入ってみると全く様子が違ったなんてことは転職活動をしているとよく耳にすることです。

筆者は転職前にきちんと確認すればよかったと思うことが3つあります。これについて1つずつ紹介しましょう。

職場の雰囲気を確認する

まずは、職場の雰囲気です。
筆者の新しい職場には、変わった主任が3人います。
独裁政治の注射室の主任、仕事を投げやりにその場しのぎの対応ばかりする調剤室の主任、気に入った人を持ち上げ、気に入らなくなると手のひらを返したように執拗にいじめをする薬務室の主任です。

薬剤部の職場見学の時は、3人ともそろっていい顔をして自分の部署を説明してくれました。しかし、転職してみるとその周りの雰囲気の悪さに驚きました。みんな機嫌を取り、顔色を見ながら仕事をしています。これでは仕事をする環境が整っているとは到底言えません。

見学の際には、話をする相手のみならず、周りの薬剤師の雰囲気に注目してみましょう。できれば一度話をしてもいいのではないでしょうか。

退職者の退職理由を確認する

2つ目は、1つ目に付随するかもしれませんが、退職者の退職理由をやんわりと聞いてみるのもいいでしょう。
やめた理由が上司の影響なのか、その職場の過酷な業務環境なのか、結婚などのおめでたい理由なのか、この理由一つで全く違ってきます。せっかく転職をして新しい環境に身を置くのに、また転職をしてしまうきっかけになりかねません。

薬剤師定員に対する現状の人数を聞いたのちに、最近は増えてきているか減ってきているかは是非一度確認してみてください。

一度に多くの募集の場合、職場への不満で大量に辞めた場合もあるでしょうが、病棟業務立ち上げや新しい業務を始めるにあたっての人数確保の場合もあります。大量募集が一概に悪いというわけではないので、募集理由もしっかり確認しておきたいところです。

薬剤部と他の医療職種の関わり状況を確認する

3つ目は、薬剤部と他の医療職種の関わり状況です。自分が薬剤部へ入り仕事を始めても、病院という大きな見方をすれば薬剤部も部門の1つにほかなりません。病院をスムーズに動かしていくためには、他部署との連携は必要不可欠です。一番大きな部門である看護部と仲が悪いなんて聞いたらまともな仕事ができるわけありません

病院は一つの社会です。これをわかっていないような薬剤部であれば、その転職はなかったことにしてもいいのではないでしょうか。

病院薬剤師に転職してもうまくやっていける人

病院という環境にあって上手に働いていける人。それはどんな人でしょう?
次の4つが大事になってくるのではないでしょうか。

向上心のある人

病院では学会発表や専門薬剤師の取得を指示されることもあるため、向上心のある人が望まれます。
また、抗がん剤や麻薬、ターミナル期の患者様や重症例を扱うことも多いため、まじめに仕事に取り組める人が相応しいでしょう。

真面目すぎない性格

まじめすぎてマニュアル通りにしか動けないと、患者様からの様々な質問に的確に答えられないことがあります。
例えばこの患者様は訴えを聞いてほしいのに、傾聴することなく「こうしてください、ああしてください」など言ってしまうなどです。
また、真面目すぎると、仕事の優先順位を考えて臨機応変に対応できない場合もあります。

穏やかな性格

忙しさや仕事のプレッシャーから性格がきつくなり、ミスにもつながります。
そうならないためにも、どんなに忙しくてもゆったりとした気持ちをもち、どっしりと構えていられる人が、忙しい職場の中でもみんなの気持ちを安定させるキーマンになります。

きちんとコミュニケーションがとれる人

病院には医師や看護師など多くの職種の方が働いています。
この中でうまく働いていくためには、コミュニケーション能力が必要不可欠になります。時には相手の質問に真摯に回答し、その関係性を作ることが必要です。

この関係性があるからこそ、薬剤師としてお願いすることが可能になります。黙って調剤するだけでは決して仕事はできません。
高いコミュニケーション能力で他職種との関わりを円滑にすることで病院でのあなたの価値は上がっていくことでしょう。

病院への転職のアドバイス

最後に、病院への転職活動をするときに気を付けたいことを、いくつかアドバイスしたいと思います。

病院見学のアドバイス

職場見学に行った際は、おそらく薬剤部長や各部門の主任に説明を受けることになると思います。
おそらく間違ったことは説明されませんが、せっかく見学にいったのであれば、そこで働いている薬剤師に話しかけてみるようにしましょう。
そうすることで、現場の雰囲気や様子を確認することができます。
もちろん業務の妨げにならないように事前に許可をとっておくことも忘れないでおきましょう。

転職サイト利用時のアドバイス

転職サイトを使用する際は、自分の希望する条件はもれなく伝えるようにしましょう。
でないと思いもよらない病院を提示される可能性があります。

また、転職サイトから提案される条件をきちんと理解するようにしましょう。
転職サイトの方々はその道のプロです。自分単独では気づくことのない部分について的確なアドバイスをしてくれます。

筆者は大学病院から中規模の病院への転職も経験があります。そもそも家族との時間を増やすために転職を希望したのですが、やはり自分が働くうえで妥協できない要件がありました。そこで転職サイトを利用したとき、次の3つの条件を申し出ました。

病院への転職時の希望条件

  • 資格取得のサポート
  • 臨床研究ができる状況にあるか
  • 基礎研究ができる環境か

転職サイトからは、この3つの条件に対して3つの病院を提示してもらいました。
この病院がいいなと思って連絡すると、『ご自宅からだと通勤に1時間近くかかりますが良いでしょうか?』と提案を受けた時、思ったより遠くの病院だったので思わずはっとした経験があります。
希望の条件にこだわるあまり、他のデメリット気づかなかったのです。
転職に際して譲れない条件もありますが、そもそもなんのために転職するのかという前提条件を忘れてはいけないと感じました。

転職サイトはそれを教えてくれます。

情報は色々な方面から仕入れる

希望する病院に万が一知り合いがいたときは、薬剤師についてどう思っているかなど意見を聞いてみるようにしましょう。
薬剤師の意見ももちろん大切ですが、他職種の意見も参考になります。薬剤に携わるのは何も薬剤師だけではありません。医師や看護師も関わってきます。

チーム医療は言い換えれば他職種との共同業務になります。
薬剤師単独では業務が成り立たないということを念頭におくことも大切です。

給料の確認も大切

病院薬剤師を目指す方は高い理想に燃えている方が多いです。しかし、人間生きていくためにはお金が必要だということもゆるぎない事実です。
いくら自分の薬剤師像に見合った職場が見つかっても、それに見合ったお金を貰うことが出来なければ転職は成立しません。そのため、自分が転職した際の基本給、住宅手当、通勤手当、残業時間をどれくらいつけても良いのか、福利厚生などは正直に聞いた方がいいです。サービスでは人生成り立ちませんので。

そうはいっても、病院薬剤師の給料は低いです。これもまた紛れもない事実です。病院薬剤師に転職したい、けれども給料も妥協したくない。そんなときは転職サイトの力を借りましょう。転職前に給与交渉をしてもらえます。

大幅な年収アップは狙えないものの、転職サイトの頑張り次第では、年収で数十万円程度のアップは交渉してもらえます。

まとめ

病院薬剤師はやりがいのある仕事です。しかし一口に病院薬剤師といっても、病院の規模や診療科によって業務も違います。自分のやりたいこと、薬剤師としても将来像や自身の生給料は活スタイルに合った病院に出会うべく、しっかりと情報収集をして後悔のない転職をしてください。
メリット、デメリットありますが、病院薬剤師へ挑戦したいと思ったその気持ちを大切にしてください。

転職を考える薬剤師の方へ

薬剤師がすぐに辞めていくような会社であれば、受ければ受かりますが、条件のよい求人には応募が殺到します。

薬剤師が転職を成功させるには、転職サイトを利用した求人情報の活用がキモです。
応募の殺到する人気求人への転職に成功した筆者の経験を元に、「薬剤師の転職サイト閲覧時」「転職エージェントとの面談時」「応募先の決定時」「応募先企業との面接時」のそれぞれの段階において、どのような求人情報を確認し、どのような情報を活用すればよいのか、転職成功のためのノウハウの全てを「薬剤師の求人情報の見方とその活用方法のすべて」にまとめました。
薬剤師転職の教科書ともいえるものです。
理想の求人を手に入れるための参考にしていただければ幸いです。

薬剤師転職サイトランキング

薬剤師の転職サイト徹底比較

当サイトを運営する薬剤師執筆陣が選んだ、薬剤師転職サイトのランキングです。
薬剤師転職サイトの比較ポイントとは!? これを見れば、もう転職サイト選びで迷わせません!

ランキングを見てみる

The following two tabs change content below.

ゆっきー

個人経営の調剤薬局に就職後、スキルアップのため大学病院⇒中規模病院へと転職。患者様に役立つ薬剤師を目指し、現在は薬物療法専門薬剤師の資格取得を目指す。

こんな記事も読まれています

  1. 薬剤師の転職活動のタイミングはいつがいい?ベストな時期は?

  2. MRから薬剤師への転職、気を付けるポイントは?

  3. 薬剤師の就職先には何がある?人気の求人は?

  4. 薬剤師のための失敗しない会社選びのコツ

  5. 【薬剤師の異業種への転職】難関転職先の求人を狙うタイミングはいつ?

  6. 薬剤師が職場に合わないと感じて転職するときに気を付けること

PAGE TOP