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派遣薬剤師の裏話。ブラックな薬局に気を付けて!実体験を語ります

  • 最終更新日: 2020.03.12
 

一般的に派遣社員というと、給与が少ない・雇用が安定しないなど良いイメージがあまりありません。

しかし薬剤師の派遣は高時給で、雇用も一般職に比べると安定しています。

時間的にも自由になりやすいので、キャリアとプライベートのどちらも大切にしたい薬剤師さんに人気の雇用形態です。
一見、良いこと尽くめに見える派遣薬剤師。

しかし派遣される職場によっては、仕事が大きなストレスとなり「派遣薬剤師なんかにならなければよかった」と後悔することも…。

私も一度、いわゆる「ブラックな薬局」に派遣され、心身ともにボロボロになった薬剤師の一人です。

今回は派遣薬剤師の裏話として、気をつけなければいけない「ブラックな薬局」について、私の実体験をもとにお話しします。

どんなブラックな派遣先だったのか

まずは、私が派遣されたブラック薬局がどんな状態だったのかお話します。

ブラック薬局なのですぐ人が辞めてしまい、さらに忙しくなるという悪循環でした。

薬剤師の人数に対して仕事量が多すぎる

私の派遣された薬局は、正社員が2人・派遣薬剤師が3人の計5人体制で仕事をしていました。

処方箋は一日400~600枚。

とても多く見えますが、眼科や皮膚科の処方箋が多いので、調剤自体はそれほど大変ではありませんでした。

大変なのは400~600人分の投薬を、3人の派遣薬剤師でさばかなければいけないところ。

単純計算で、一人130~200人の患者さまの薬を監査・投薬。

薬歴を書いて、さらにクレーム対応までしなければならなかったんです。

今までの薬剤師人生で、体験したことがないような忙しさでした…。

派遣薬剤師は正社員が調剤した薬の監査と窓口の業務のみ

この薬局での派遣薬剤師の仕事は、一日中窓口に座って正社員が調剤した薬の監査と投薬。

調剤室には行かず、ひたすら患者さまの対応です。

「一日中窓口での仕事でもいいのでは?何が問題なの?」

そう思う方もいるでしょう。
私も派遣される前は、問題なくこの仕事ができると思っていました。

一日中同じ仕事というのは飽きるかもしれないけれど、仕事して割り切ればやっていけるだろうと簡単に考えていたのです。

ですが、実際にやってみるとかなり難しいということがよく分かりました。

一日中窓口での服薬指導をする辛さ

130~200人の服薬指導を一日中するということは、ずっとしゃべりっぱなしということ。

朝から晩まで患者さまと話しているので、黙っていられる時間がほとんどありません。

仕事が終わるころになると、毎日喉がガラガラです。

喉の痛みが次の日まで続く日もあり、このような仕事をいつまで続けられるのか毎日不安に思っていました。

喉を酷使していたせいか、患者さまからの風邪がうつってしまい、何週間も咳が止まらなくなったことも。

投薬中に咳き込み始めると調剤室内に駆け込んで咳が止まるまで待ち、また投薬をする。
本当に大変でした。

窓口での監査をすることの大変さ

監査業務は調剤ミスを限りなくゼロに近づけるための最重要機関。

薬剤師にとって最も緊張する業務内容の一つです。

監査の担当になる時は深呼吸をして精神を整えるなど、正確な監査を行うために工夫をする薬剤師さんもいますね。

ただ、私がツラく感じていた「窓口で監査をすることの大変さ」は、監査業務自体の責任の重さではありません。

その責任ある業務を患者さまの目の前の窓口でやらなければいけない環境においての大変さです。

派遣先の薬局の調剤室内には監査台はなく、正社員が調剤した薬を窓口で派遣薬剤師が監査というスタイルでした。

なので窓口での監査中に、薬を待てずにイライラしている患者さまから怒鳴られることが日常茶飯事だったのです。

患者さんは病院に来て診察で待たされ、会計で待たされた挙句、薬局でも待たされる…。

そんな中、自分の薬がもう目の前の直前まで来ているのに、窓口にいる薬剤師が薬の中身を時間をかけて確認しているんです。
患者さまが怒るのは当然ですよね。

派遣薬剤師は患者さまからの冷たい視線を浴びたり、時には怒鳴られる環境の中で決して間違えてはいけない監査業務をやらなければならず、それがとても辛かったです。

なんだか正社員がやりたくない仕事をすべて派遣薬剤師に押し付けているだけなのではないかと感じていました。

ブラックな薬局は管理薬剤師の人柄に問題があった


派遣薬剤師全員が一番不満があったのは、ズバリ管理薬剤師の人柄です。

いくら業務が厳しくても管理薬剤師が信頼できる人なら、みんなで相談や協力をしながら業務を改善できたのかもしれません。

しかし私が派遣された薬局の管理薬剤師は、正直なところ信頼や相談ができる人物ではありませんでした。

派遣薬剤師は投薬をして!薬歴は後!

先ほど一日130~200人の投薬をしなければいけないとお話ししました。

つまり、同じ処方枚数だけの薬歴を書かなければいけないということ。

薬歴は、患者さまの訴えや質問なども書かなければいけないため、投薬後すぐに書くのが理想的です。

しかし、多くの患者さまが待っている中、投薬後に一人一人薬歴を書いている暇はありません。なので私たち派遣薬剤師は、薬歴をためておいてタイミングを見計らって書いていました。
ここでの問題は薬歴の枚数ではなく、薬歴を書く時間についてです。

一生懸命タイミングを見て書いていましたが、投薬の間に薬歴を少しずつ書いていると、決まって管理薬剤師が調剤室内から出てきます。

派遣薬剤師の後ろを通りながらお経のように「投薬をして!薬歴は後!」と言って調剤室内に帰っていくのです。

しかも薬歴は後と言いながら、薬歴を書く時間を取ってくれるわけでもありません。

業務時間の8時間目いっぱい投薬と監査に集中させられるため、派遣薬剤師の中には薬歴を書いていない処方箋が4,5cmたまっているという人もいました。

「ではいつ薬歴を書けばいいの!?」
そう言いたくなりませんか?

仕方がないので私は、患者さまのタイミングを見計らうと同時に管理薬剤師の目を気にしながら薬歴を書いていました。

あまり薬歴がたまってしまうと、この薬局を辞めることすらできなくなるんじゃないかと思っていたんです。

薬歴を書くという、薬剤師として当たり前の仕事をしているだけ。
それなのに管理薬剤師に隠れて書かなければいけないなんて、何か悪いことでもしているようでとても悲しいかったです…。

管理薬剤師は患者さまのトラブルから逃げる

管理薬剤師の人柄に関して疑問に思ったのは、薬歴のことだけではありません。

窓口で怒鳴り声をあげている患者さまなど問題がある方が来ても、調剤室内から出てこようとしないのです。

窓口での監査中に怒鳴られる以外にも、精神的な病気や虫の居所が悪いなどで窓口に来て怒鳴る患者さまがときどきいます。

私が以前勤務していた職場では、クレーマー的な患者さんが来たときは管理者がすぐに出てきて対応していました。

それが管理者として、当たり前のことだと思っていたんです。

しかし派遣先の管理薬剤師は、クレーマー的な患者さまの対応も窓口にいる派遣薬剤師に任せて知らん顔。

調剤室内に引きこもり、自らの保身を最優先していました。

他にもあります。
正社員が調剤した薬をある派遣薬剤師が窓口で監査をしたのですが、一つの薬の調剤漏れを見逃してしまい、薬を患者さまの家まで届けなくてはいけないということがありました。

その時管理薬剤師は、監査をしていた派遣薬剤師が悪いと派遣薬剤師にその薬を患者さまの自宅まで届けさせ、自分はさっさと帰宅してしまったのです。

ここまで無責任な管理薬剤師がいるんだと、当時の派遣薬剤師もびっくりしていました。

ただ、無責任な行動をしているこの管理薬剤師ですが、

患者さまの家に行くための電車代は切符よりも安いICカードの値段で請求してください。

と電車代だけは細かいところまで指示してきたというオチが付きます。

これでは、他の職員の信頼が得られるはずはありませんよね。

管理薬剤師や薬局自体の環境の悪い噂が広がっているのか、この薬局には社員・派遣社員ともになかなか新しい薬剤師が入ってこず、いつも薬剤師不足の状態でした。

そして薬剤師不足のため管理薬剤師が余計にいら立ち、雰囲気をより悪くする――― 悪循環以外のなにものでもありません。

派遣先の薬局がブラックな環境なのは、管理薬剤師の言動によるものと言えてしまう状況でした。

薬剤師にとってブラックな派遣先は多いのか


ここまでの話を聞くと、ブラックな派遣先に当たる確率は結構高いのかと心配になった人もいると思います。

ここで『薬剤師にとってブラックな派遣先になりうる薬局』をリスト化してみます。

薬剤師にとってブラックな派遣先になりうる薬局

  • 患者さまとの間で問題が起こった時に逃げてしまうなど、管理薬剤師のキャラクターに問題がある。
  • 管理職以外の薬剤師が極端に少ない
  • 派遣薬剤師は全員一日中窓口業務で、監査も窓口でやらなければいけない

ほとんどの場合、管理薬剤師の人柄や薬剤師の人数が足りているかは、実際に働いてみないとわかりません。

ただ一つ言えるのは、派遣薬剤師に窓口業務のみをさせる薬局というのは実際のところとても多いということです。

しかし、派遣薬剤師の業務が窓口業務だけだからと言って、それがイコールブラックな薬局ではないということも覚えておいてください。

調剤業務をするにはまず、その薬局独自の調剤内規や薬剤棚の位置を覚えないとできません。

そのため短期間の派遣薬剤師には即戦力として、窓口業務のみをお願いしたいという薬局側の主張も理解できるものです。

派遣薬剤師は窓口業務のみでも患者さまの数がさほど多くなく、薬歴を書く時間など余裕をもって仕事ができる環境であるならば、窓口業務のみでもそれほど問題はないでしょう。

あくまでも気をつけなければならないのは、これまでお話ししたような、社員のやりたくない仕事はすべて派遣薬剤師に任せてしまおうとする薬局。

派遣薬剤師だからと言って便利に使い捨てをするような薬局では、正社員と派遣社員がお互いに尊重することもなくなります。
結果的にお互いに最悪の職場環境で働くことになり兼ねないのです。

派遣薬剤師がブラックな職場での勤務を防ぐ方法

それではどのようにすれば、ブラックな派遣先を事前に知ることができるのか考えてみましょう。

派遣会社に管理薬剤師のキャラクターを確認する

先ほど、管理者薬剤師のキャラクターは実際に派遣されてみないと分からないとお話ししました。
しかし、実は派遣会社側は今まで多くの派遣薬剤師からの苦情を聞いていて、問題事項に関してすでに分かっているということもあります。

私がこのブラックな保険薬局に派遣が決まった時ですが、派遣会社からは「まずは一か月契約で」と言われました。
それに対し私は「長期勤務を補償してほしい」と、できれば最初から長期で契約をしたいということを派遣会社に申し出ました。

すると派遣会社から「薬局側が最初は1か月契約でお願いしたいと言っています。まずは1か月、様子見で働いてください。」と言われましたので、私はそれに従うことにしたのです。

ですが、その後こう続けて言われました。

この薬局様ですと、1か月で契約終了を薬局側から言われることはないと思います。
こちらが契約延長を申し出る前に、薬局側から契約を延長してほしいと言うはずです。とにかく契約延長は確実と言えますのでその辺は心配ありません。

――――どう思われますか。

派遣会社が管理薬剤師のキャラクターまで知っていたのかは分かりません。
ただ、何かしらの問題を抱えていて薬剤師が長くいつかないところだというのはわかっていたのではと予想できますね。

他の派遣会社から同じブラック薬局に派遣されていた薬剤師は、事前に派遣会社からこのように言われていたそうです。

何かあったら突然辞める前にすぐに知らせてください。お願いしますよ。

やはり何らかの問題がある薬局で有名だったのでは?と推測できますね。

これらのことは派遣された後、振り返ってみて分かったことです。

派遣前に派遣会社に管理薬剤師について確認することができる可能性を知っていたら、ブラック薬局には入らずに済んだかもしれません。

派遣会社、派遣会社の担当者選びを慎重にする

  • 今までに何人も不満を抱えて辞めた薬剤師がいる
  • 管理薬剤師に何らかの問題がある

もし上のようなことを派遣会社側が知っていたなら、その事実を隠して薬剤師に薬局を紹介するのはフェアではないと思いませんか?

派遣会社側に、どんな事情があるのかは分かりません。

でも派遣薬剤師側の私からすると「状況が改善されない限り、弊社から薬剤師は派遣できませんよ!」くらい言っていただきたいものです。

このような出来事から私が思うのは、派遣薬剤師側の派遣会社・担当者選びもしっかりしなけらばいけないということ。

派遣会社の中には、誠実に派遣社員のことを考えてくれる会社もたくさんあります。

担当者の発言にひっかかるところがある・担当者に信頼できないなどおかしいなと思うことがあれば、派遣会社や担当者を変えるのもブラックな派遣先を防ぐために有効な方法です。

転職エージェントおすすめの派遣会社の紹介記事はこちら。

事前に職場見学をする

派遣される前に薬局を訪れ、管理薬剤師に挨拶をするというシステムの派遣会社もあります。

薬局や管理薬剤師の雰囲気を確認する、良い機会と言えますよね。

ただ、見学の時点で管理薬剤師の人柄や薬局の問題点を見抜くのは至難の業。

見学だけを判断材料にするのではなく、派遣会社の担当者への事前確認など合わせて情報収集することが大切になりますよ。

もちろん見学時に何らかの違和感を感じたら、派遣担当者に必ず確認しましょう。

派遣就業前に業務内容を事前確認する

私はブラックな薬局で働いた以降、もう同じ思いはしたくないと思い、業務内容について常に事前に確認するようにしています。

派遣薬剤師に窓口業務だけを頼む薬局が多いとお話ししましたが、中には社員の薬剤師と同じ業務ができる薬局もあります。

業務内容が窓口業務だけの薬局であったとしても、派遣会社の担当者にこちらの希望を伝えることで交渉ができ、その結果調剤などもお願いしますと言われることも多いです。

派遣薬剤師は、もともと社員だけでは人手不足の薬局をお手伝いするという役割があります。
こちらの希望を薬局側に伝えるのはわがままに思えて、どうしても躊躇してしまうという人も中にはいると思います。

でも、言われるがままに辛い仕事をして、我慢の限界が来て短期で辞めるのでは、相手の薬局にも迷惑がかかると思いませんか?

お互いに気持ちよく仕事をするために、事前に交渉したり確認を取ったりすることは決してわがままではありません。
薬剤師の人数についても事前に確認できますので、納得がいくまで派遣会社の担当者と話し合ってみてください。

万が一辛い派遣先にあたってしまった場合は契約期間前でも辞めることができるのか

業務内容を事前に確認をとって納得できたとしても、実際に働いてみないかぎり薬局の実態が分からないということももちろんあります。

もしも派遣先の仕事がとても辛い場合、契約終了期間まで我慢しなければいけないのか、それとも契約終了前でも辞められるのかとても気になるところですよね。

契約終了前でも辞められるか ――― 

その答えは、その時の状況と派遣会社の担当者との話し合いによります。

私の場合は、喉を壊したり風邪が長引くなど健康上の問題が出ていましたから、辞めたい旨を担当者に伝えてそのことに関して担当者とかなり話し合いました。

そしてその結果、契約終了前でも辞めてもいいという結論になりました。

契約前と話が違うなどやむを得ない事情がある場合は、きちんとした状況説明を担当者にすれば契約前に辞めることも可能だと言えます。

派遣薬剤師は職場で理不尽なことがあったら派遣会社の担当者に詳しく伝える努力をしてほしい

そして最後にもう一つ、派遣薬剤師が「ブラックな薬局に派遣されるのを防ぐ手段」があります。

それは、もし派遣先で理不尽なことがあったら、派遣薬剤師一人一人がその詳細を派遣会社に伝える努力をすることです。

いくら事前確認をしても情報自体がなければ、ブラックな薬局なのかどうかは派遣会社も分かりません。
その元になる情報を派遣会社に伝えてほしいのです。

私たち日本人は、見て見ぬふりをしたり、黙っていることが美学だと考えがちですが、それでは派遣薬剤師の立場が改善されることはなくなってしまいます。

それぞれが情報を与えることで他の薬剤師さんが救われ、回りまわって自分自身も救われることになることを忘れないでください。

派遣薬剤師同士で情報を共有し、お互いに立場を守ることがとても必要なことだと思います。

派遣薬剤師の裏話|まとめ

今回は、ブラックな薬局に派遣されてしまったときの裏話や、ブラックな薬局に派遣されるのを防ぐ手段についてお話してきました。

このような実体験を聞くと、派遣薬剤師になることが怖くなるという人も正直いると思います。

でも派遣薬剤師になってやりがいのある仕事をしながら自分の時間も持つことで、充実した人生を歩んでいる薬剤師さんはたくさんいます。

大切なのは、派遣先の選び方や対処法を知り、自分に合った派遣先を見つける可能性を高くすること。

派遣薬剤師さんたちが毎日楽しく働ける職場に出会うために、この記事が少しでも役に立ってくれたらとても嬉しいです。

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Candie

総合病院に臨床薬剤師として勤務後、治験コーディネーターを経て語学留学のため渡米。 帰国後は治験コーディネーター、保険薬剤師として英語を生かした仕事に就く。 現在は結婚退職し、ライターとシステムプログラマーとして在宅勤務中。趣味はものづくり。

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