- 残業が多くて、プライベートの時間がない
- 仕事内容がキツイ割に給与が安い
- どうしても苦手な人がいる
様々な理由により、長い薬剤師生活のなかで転職を考える薬剤師は珍しくありません。
薬剤師は労働側の売り手市場が続いているので、複数回転職をする方もいるほどです。
ただ、少しずつ薬剤師は充足して来ていますし、年齢を重ねれば選択肢が減るのはどの業界も同じ。
「何度転職をしても不満が残る…」
「だんだん転職先もなくなってきた…」
そうならないように、転職に成功する薬剤師・失敗する薬剤師の違いから、転職を成功させて希望通りの職場で働くためのコツをお伝えします。
私が薬剤師転職エージェントとして関わった、実際の転職事例を元に説明を致しますので、参考にしてくださいね!
目次
転職が成功する薬剤師の特徴
まずは転職が成功し、希望通りの職場が見つかりやすい薬剤師の特徴をお伝えします。
具体的には、以下の3つがポイントとなります。
転職が成功する薬剤師の特徴
- 転職理由がハッキリしている
- 経験が豊富・やる気がある
- 入社3~7年目くらいの若手薬剤師
自分ならどの事例に近いかを考えながら、読んでみてくださいね。
転職が成功する薬剤師の特徴1:転職理由がハッキリしている
転職理由がハッキリしている薬剤師の例
- 残業が多くてツラいので、残業が少ない職場に転職したい
- 有休が取りにくいので、有給取得率が高い企業がいい
- 年収が少なく不満なので、もう少し年収が高い職場がいい
このような目標がハッキリしていると、転職エージェントとしても適切な職場を見つけやすく、転職を成功させやすくなります。
特に年収など福利厚生面が不満で転職する場合には、具体的にどれくらいの報酬が希望なのか数字化しておくと、現職と比較しやすく職場探しが楽になりますよ。
Aさんの転職例
転職理由
残業が多いため家族と過ごす時間が取れない。
有休も取りにくいため旅行などの計画も立てにくい。
プライベートを充実させられる職場が希望。
転職のキッカケと転職先に望んだもの
お勤めの職場は慢性的な薬剤師不足で残業が多く、なかなか有休もとれずプライベートが犠牲になっているとのことでした。
転職することで職場環境を変え、「プライベートを充実させられる職場に転職したい」というハッキリとした目的をお持ちでした。
そこでAさんの転職先選びは次の3つを希望条件として職場探しを開始しました。
- 残業ほとんどなし
- 有休取得率が高い
- 土日休み
求人選び
1つ目の「残業」対策として、重視するポイントは3つ。
- 夜診回数が少ない
- 配属先が人員に余裕がある店舗
- 薬歴残業を減らす企業努力があること
薬歴残業対策としては、声を認識し薬歴記入を簡素化するソフトを導入しており、発注やレセプトなどの業務を、事務さんに一任している企業を選択しました。
2つ目の「有休の取りやすさ」においても、重要になるのは配属先の人員配置に余裕があること。
1日の処方せんが200枚以上の大型店舗は、新卒の受け入れ先になりやすく、有休消化率が高めです。
ほかに、薬剤師の有休取得率上昇を意識している企業も、選択肢に加えました。
しかし、3つ目の「土日休み」は、Aさんに譲歩していただきました。
Aさんは前職で「長期旅行の計画が立てにくい」との不満があり、土曜休みの店舗を望んでいましたが、土曜休みの店舗は大型病院の門前薬局など忙しい店舗が多く、平日のお休みをとりにくいです。
逆に月曜〜土曜まで営業しているシフト制の店舗の方が、希望休をとりやすいことも。
Aさんにとっては、『旅行に行きやすい』が目的であり、『土日休み』というのが目的ではありません。
シフト制の店舗を選ぶことで、希望休と有休をつなげて長期休暇を取得し、2泊以上の旅行がしやすくなります。
Aさんに「旅行のしやすさ」を優先するなら、土日休みではなくシフト制の方が良いことを、ご理解いただきました。
「土日休み」から「シフト制」に希望を変えたことで企業選びがグッとスムーズになり、オススメの企業3~5社をご紹介できました。
その中から、薬剤師の福利厚生を重視している企業をAさんが気に入り、転職が決定しました。
結果、面談開始からわずか1週間で転職決定という、スピード転職が実現できました。
エージェントが手助けしたこと
転職の内定をいただいたときに、エージェントである私から企業側に次の2点を交渉させていただきました。
- 「18時以降の勤務シフトは、週2回を上限とすること」を契約書に明記すること
- 人員配置に余裕ある店舗に配属すること
インフルエンザ時期やお盆など休暇前の混雑時には残業が生じる可能性もあるため、企業側との話し合いにより、この内容となりました。
ただ残業の少ない店舗に配属としてもらったため、実際には18時以降の勤務が週2回より少なく、満足されておりました。
Aさんが土日勤務を譲歩してくれたことと、年収アップにそれほどこだわらなかったことで、エージェントとしても交渉がしやすかったです。
どんな転職ができたか
前職と比較して「土曜日の出勤回数は増えたけど、残業が減って有休も取りやすくなったので、家族と過ごせる時間が増えた。」という転職ができました。
以前はできなかった夏休みの長期旅行などを実現され、満足しているそうです。
転職前
- 年収530万円
- 薬剤師3人の店舗
- 残業40h/月、有休とりにくい
転職後
- 年収520万円
- 薬剤師6人の店舗
- 残業5h/月、有休とりやすい
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Bさんの転職例
転職理由
今の職場は、育休を取るとその後は管理薬剤師などに昇進するのが難しい。
出産・育児を経ても薬剤師として成長し、仕事内容を評価してくれてポジションアップできる職場に転職したい。
転職のキッカケと転職先に望んだもの
Bさんは結婚を機に「今の職場でずっと勤められるか」を考えたところ、今の職場は産休・育休を得た人は薬局長や管理薬剤師になっていないことに気が付いたそうです。
旦那様が育児と仕事の両立に理解がない中で、産休・育休取得に消極的な職場で、このまま育児をしながら働くことも不安だったそうです。
出産や育児を経ても管理薬剤師や本社業務など、育児と仕事を両立させながらどんどんキャリアアップしたいとのことでした。
Bさんの希望を叶えるため、次の4つを条件としました。
- 育休や産休などの女性を応援する福利厚生が充実している
- 復帰後の女性の活躍を積極的に進めている
- 休みは固定給ではなく、シフト制の店舗
- 全国展開している
求人選び
キャリアアップしていくために、旦那様の転勤や、女性としてのライフスタイルの変化があっても、転職を繰り返す必要がないというのを一番重視しました。
会社選び
旦那様の転勤に合わせて引っ越した際、地方展開の企業だと転職が必要になるため、全国展開している企業を選びました。
また女性管理職の多い会社は、女性の働きやすさを重視しているため、産休・育休の所得率が高い傾向です。
例えば、くるみ薬局・きららみらい薬局・育星会(カイセイ薬局)などは管理職の女性比率が高く、女性が活躍しやすい環境です。
関西は女性社長の調剤チェーンも多く、株式会社阪神調剤・フタツカ薬局・株式会社アクセスライフなどが、女性の活躍を応援している企業です。
女性が出産・育児などで退職してしまわないように、女性の働きやすい職場環境を整えようとしている会社は増えてきていますね。
店舗選び
子どもが小学生になっても無理なく働けるように、休みは固定ではなく、シフト制の店舗をチョイスしました。
小学生は学校の行事も増えてきます。
希望休が通りやすいシフト制でないと、学校の行事に参加しにくく、いわゆる小1の壁問題に当たってしまいます。
同じ企業でも固定休の店舗とシフト制の店舗があるので、配属予定先の休みまでしっかりとチェックします。
エージェントが手助けしたこと
Bさんが長く働き続けられることを重視したため、契約書にはこのように記載いただきました。
- 日勤勤務 週5日 変形シフト制
- 原則残業なし
「遅番シフトがないこと」を盛り込むのが理想ですが、できないことを契約書に明記することは企業にもマイナスイメージなってしまいます。
一時的な欠員で遅番が入ることも考えられるため、現実的な範囲にとどめてもらいました。
さらに今回は、転職後の年収据え置きを実現できました。
このBさんのように就業時間に制限がある求職者の方の場合は、年収面を妥協して頂くのが一般的です。
今回はBさんのキャリアアップしたいという意欲を評価してもらい、年収据え置きの結果となりました。
就業時間に制限があっても、転職エージェントを利用することで、求職者の意欲を評価して頂き、年収の据え置きも可能となるのです。
大手企業相手であれば、年収ダウンも十分ありえますからね。
どんな転職ができたか
子育てと管理薬剤師業務を両立させているママ薬剤師がいる店舗に配属となり、先輩管理薬剤師からいろいろと学んでいるようです。
遅番シフトがなく、希望休がとりやすいことで子育てと仕事の両立ができ、満足されておりました。
近々、管理薬剤師に就任されるとのことで張り切っておられます。
転職前
- 年収500万円
- 都心部のみに店舗展開している中規模調剤チェーン
- 女性管理職が少ない
転職後
- 年収500万円
- 全国展開している大手調剤チェーン
- 女性管理職が多い
転職の目的や現在の職場への不満がハッキリしているほど、的確な転職先を紹介されやすくなります。
企業とも条件交渉しやすくなります。
その結果希望通りの転職先が見つかりやすくなるので、転職が成功するということです。
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転職が成功する薬剤師の特徴2:経験が豊富・やる気がある
経験が豊富・やる気がある薬剤師の例
- 一人薬剤師を経験しているので、レセプトも管理できる
- 応援人員としてあちこちを回っていたので、幅広い薬の知識がある
- 専門薬剤師資格を持っており、薬学生の実務実習指導も可能
スキルや経験・知識が豊富な薬剤師の場合、待遇面での不満があり転職を希望する方が多いです。
高年収を希望される場合でも、他の薬剤師に比べてアピールできるポイントがあれば、希望を叶えられる職場が見つかる可能性が高いですよ。
Cさんの転職例
転職理由
現職では大型店舗の管理薬剤師・ラウンダー業務やエリアマネージャーを兼任している。
忙しいことは問題ないが、それに見合う年収の職場へ転職したい。
転職のキッカケと転職先に望んだもの
Cさんは、30代後半という若さでしたが、大型店舗の管理薬剤師、複数店舗のラウンダー業務、エリアマネージャー業務とさまざまなスキルをお持ちでした。
在籍された企業も中堅〜全国チェーンまで、店舗運営面まで知識を深めておられました。
現職でも年収650万円薬剤師の平均に比べると年収は高い方でしたが、現在の職場ではどれほど頑張ってもこれ以上の昇給は難しいとのことで、転職を決断されました。
高い年収をご希望されていたので、マッチングが難しい転職活動ではありました。
求人探し
現行からの年収アップを狙うのであれば、ポジションアップか、「急な退職に伴う人員補充」などの時期的な求人がねらい目となってきます。
Cさんはすでに現職でエリアマネージャーとして働いていたので、これ以上のポジションアップは難しいです。
後は時期的な求人がでてくるのを待つしかないという状況でした。
Cさんが転職活動を開始されたから2週間ほどたったとき、幹部の独立による穴を埋めたいという中規模調剤チェーンがでてきたのです。
幹部候補として高いスキルをお持ちでかつ、30代の働き盛りの薬剤師を求めておられ、まさにCさんにピッタリの求人でした。
こちらの企業さんも当初は、Cさんの年収700万円という希望に難色を示されていましたが、まずは面接して会ってみるということになりました。
面接時では、Cさんはご自身の高スキルを巧みにアピールしつつ、持ち前のコミュニケーション力も発揮されることで、採用担当者へ好印象を与えることができました。
結果、年収アップで、幹部候補としての地位での転職が決定しました。
エージェントが手助けしたこと
この案件ではとにかく年収アップを交渉の柱にしました。
そのため、ラウンダー業務や週3日以上の遅番出勤も厭わないという条件をだしました。
Cさんはご自分の価値を正当に評価してくれる会社を求めておられるのです。
他にも「710万円出すからうちにほしい。」とおっしゃる他社さんもみえます。ここでCさんの心をつなぎとめるには思い切った金額の提示が必要かと思いますよ。
このように切りだしたところ、Cさんのコミュニケーション能力にこころを動かかされていた採用担当者の背中を後押しでき、見事希望年収の700万円に30万円をプラスしての条件を手に入れました。
どんな転職ができたか
Cさんは地方出張もありかなり忙しい毎日のようですが、希望以上の年収となり満足されているようです。
将来を期待されていることもあり、張り切ってお仕事に邁進しているようです。
転職前
- 年収650万円
- 中規模調剤チェーン
- エリアマネージャー
転職後
- 年収730万円
- 中規模調剤チェーン
- 本社勤務のラウンダー
本社勤務や管理業務の経験者、専門資格を持っている方などは、キャリアアップや年収アップの希望を叶えやすいです。
特別な資格や経験がなくても、仕事へのやる気が高い方は管理薬剤師候補として高い年収での転職が成功する可能性がありますよ。
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転職が成功する薬剤師の特徴3:入社3~7年目くらいの若手薬剤師
若手薬剤師はこれからの成長が見込めるため、多くの企業から求められます。
特に大手企業出身の若手薬剤師は、大手の教育プログラムにより基礎をしっかりと積んでいるので、市場価値が高いんです。
全国チェーン・大手企業は転勤・異動が多く大変と感じる方も多いですが、その分転職を考えたときには多くの中小企業に求められるので条件交渉もしやすいですよ。
Dさんの転職例
大手全国チェーンで4年勤めたが、薬剤師数が多いことから若手がなかなか管理薬剤師になれず転職を希望。
できれば薬局運営にも関わってみたい。
転職のキッカケと転職先に望んだもの
Dさんは6年制の薬学部卒業生で、大手調剤の大型店で働いている方でした。
現在の大手チェーンは年功序列制のため、20代では努力しても、管理薬剤師にほぼなれないのが不満でした。
大手調剤薬局で培った知識を生かしつつ、さらなる経験を積みたいとの前向きな方でした。
大手調剤チェーンで働いていれば十分スキルアップしていけるのでは?わざわざ転職する必要があるの?と思いますよね。
しかし、Dさんは『調剤業務以外の経験をもっと積みたい。医師の開業支援、多店舗薬局経営などにも興味があるが、現在の職場では40歳以上にならないとそれらの経験を積めない。もっと若いうちからこれらの経験を積める企業で学びたい。』と転職を希望されたのです。
そこで、転職先選びには「調剤業務以外の業務を経験できる会社」の1点を重視して求人を探すことにしました。
求人選び
大手調剤薬局で基礎をしっかり積んだキャリアがあり、27歳とまだまだこれから成長できる年齢。そしてスキルアップを目的とした転職というやる気もあるとのことで、転職活動開始後、すぐに5社ほどからオファーがありました。
その中でも、Dさんの希望に最も近い1社がありました。
「将来の幹部候補として、若いうちから医師の開業支援や多店舗経営に携わってほしい」との打診があったのです。
すぐに面接が決まり、最終的に「管理薬剤師候補として入社し、新規出店・店舗開発などのキャリアも積める企業」への転職が成功しました。
エージェントが手助けしたこと
Dさんの希望である、入社2年以内に管理薬剤師になれることを条件にしました。
また、「このような大手出身の方が転職市場にでてくることはなかなかありません。他社からもオファーが複数来ています。」とアピールしたところ、年収を50万円ほどアップしてくださいました。
この予想もしなかった年収アップは、Dさんにも大変喜んでいただけました。
どんな転職ができたか
転職してすぐは、大手と中小での仕事のスタイルの違いに戸惑ってみえたようです。
大手では薬歴の記載の仕方一つとっても、いろいろとルールが細かいです。
しかし、転職先の中規模チェーンでは内規などもあまりなく、患者さん1人1人に丁寧に対応しつつ、取れるところ(加算など)はしっかり取るというやり方が気に入っているようです。
現在は管理薬剤師となるべく、一生懸命学んでおられます。
転職前
- 年収500万円
- 全国展開している大手調剤チェーン
- 医療モール内薬局
転職後
- 年収550万円
- 中規模調剤チェーン
- 処方箋枚数200枚の大型店
大手企業や全国チェーンを経験した若手薬剤師、もしくは中小企業でキャリアを積んだ若手薬剤師は、引く手数多で条件交渉も有利に進みます。
転職エージェントからしたらお得意様なのですが、なかなか供給数が少ないのが実情です。
大手で基礎をしっかり学んだ方、転職しようか迷っているくらいなら、一度転職エージェントに相談してみてはいかがでしょう?引く手数多ですし、さらなるキャリアを積める可能性がありますよ。
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転職が失敗しがちな薬剤師の特徴
次にせっかく転職をしたのに、希望が叶えられず不満が残ってしまった薬剤師の事例を見てみましょう。
具体的には、以下の2つが注意したいポイント。
転職に失敗しやすい薬剤師の特徴
- 転職理由があいまい
- 優先順位を決められない
転職の失敗はストレスが大きく、骨折り損のくたびれ儲けになってしまいます。
もし以下の内容に当てはまりそうなら、転職活動を始める前に自分の不満や考えを転職エージェントと相談の上まとめておきましょう。
転職に失敗しやすい薬剤師の特徴:転職理由があいまい
転職理由があいまいな例
- 何となく嫌いな人がいる
- もっと楽な職場がいい
- 今の職場に飽きた
こういったハッキリしない転職理由だと、一時的には転職して満足できてもまたすぐに不満が溜まってしまいます。
まずは「今の不満は何が理由なのか?」を突き詰めることが大切です。
Eさんの転職例
転職理由
昨日から会社に行っていないので、転職したい。
すぐに転職したいから、求人を紹介してほしい。
転職のキッカケ
こちらのEさんは職場で嫌なことがあるたびに、転職の相談に来られていました。
「上司と合わない」「忙しくて嫌」「店舗異動を突然いわれた」など、どれも転職を考えたくなる理由ばかりです。
こちらも親身になって相談に乗り、「どうしても上司と合わないのでしたら、会社に異動をお願いしてみてはいかがでしょうか?」「異動が嫌でしたら、地域限定社員として働ける店舗をご紹介しますよ。」など、状況を改善するためにいろいろとサポートしてきました。
しかしある日、「昨日から出勤してない」と当時の職場を退職することになり、転職活動を開始することに。
求人選び
エージェント側としては、Eさんのこれまでの不満のうち、どの不満が転職の原因だったのかを知りたかったのですが、Eさんは「とにかく早く転職したい。」の1点張りで、転職理由をお聞きすることができませんでした。
本来であれば転職の原因となった理由をお聞きし、ご本人にあった職場をご紹介したかったのですが仕方ありません。
Eさんのご希望される求人、「年収500〜600万円で18時定時勤務、残業無し」を探し集め、10社ほど面接することに。
応募書類は転職理由をマイナスにならないように意識したため、書類通過は問題ありませんでした。
しかし、事前の面接対策に十分な時間がとれなかったため、面接では「前の職場では上司が口うるさい人でいやだった」と本音がでてしまい、内定をいただけたのは1社だけに…
その1社は総合病院の門前薬局で忙しい店舗でしたので、「忙しくて嫌だ」と相談に来られたことのあるEさんが働いていけるか不安ではありました。
『10社も面接を受けて1社しか受からなかった現実』に落ち込んでいたEさんは、これ以上の転職活動を行う気力もなく、この会社に転職されることになりました。
エージェントが手助けしたこと
Eさんが「転職理由を話したくない」と仰るので、マッチングした求人を紹介することが難しかったです。
応募書類はエージェント経由で提出するため添削することができましたが、転職理由が不明なため、面接対策が何もできませんでした。
企業側と条件交渉するにも、何に焦点を絞って交渉すればよいのかわからなかったため、何も交渉できませんでした。
その後の展開
不安は的中し、Eさんは1か月も経たないうちに再度転職を希望されてしまいました。
結局忙しい店舗だとイライラしてしまい、周りと上手く行かないことが原因だったようです。
最初の時点で余裕を持って転職理由を検討できていれば、ミスマッチは避けられたでしょう。
転職前
- 年収500万円
- 全国展開している大手調剤チェーン
- 医療モール内薬局
転職後
- 年収500万円
- 中規模調剤チェーン
- 処方箋枚数200枚の大型店
福利厚生や勤務時間などが転職理由ではない場合、裏に本当の不満が隠れている可能性があります。
ただ1人の相手と合わないことが転職のキッカケとなることもありますが、より良い転職先を見つけるためには、細かい転職理由や今の職場への不満を突き詰めることが大切です。
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転職に失敗しやすい薬剤師の特徴:優先順位を決められない
転職したい理由が1つだけというケースは少なく、複数の不満から転職を考える方がほとんどです。
全ての希望を叶えられる職場に出会えることもありますが、そうではなく譲歩が必要な場合も。
その場合には自分の抱える不満に優先順位をつけ、必ず叶えたい希望とできれば叶えたい希望に分けておくことが転職成功の秘訣です。
Fさんの転職例
転職理由
通勤時間が長すぎるのが不満で転職したい。
かかりつけ薬局など地域活動をしてみたい。
転職のキッカケと転職先に望んだもの
自宅を購入後通勤時間が伸びてしまった。
『どうせ転職するなら、以前から興味をもっていたかかりつけ薬局で地域活動に貢献したい。』と、非常に前向きな転職理由をお持ちの方でした。
このように転職理由や目的がハッキリしている方は転職に成功しやすいタイプです。
プラス、Fさんは総合病院の門前薬局の管理薬剤師として長年勤めており、多くの処方せんの知識や大手でのエリアマネージャーの経験など、ご自身のキャリアは申し分ないです。
エージェントの私としては、このFさんの転職に何の不安もなかったです。
求人探しは次の2点に絞って探すことにしました。
- 自宅から徒歩30分以内
- かかりつけ薬局に力を入れている会社
求人選び
転職の相談をいただいてから2週間ほどで、希望に沿う求人はすぐに集まりました。
いくつかご提案した中から、地域に根ざした活動をしており新規店舗拡大中の企業に『新店拡大時にも力になって欲しい』と言われたことを決め手として就職されました。
転職が決まった企業は今後の店舗展開も考えておられ、新規出店時も右腕となって頂きたいと高評価での入社でございました。
そのため年収100万円アップの年収600万円との高評価です。Fさんも大変満足でした。
ただ一つ気がかりだったのは通勤時間です。
配属予定の店舗はご自宅も近く、徒歩25分程度。ここは問題なしです。
しかし新規出店ともなればそうはいきません。とはいっても近隣の地域への出店なので、極端に遠くなるわけではないが問題ないかと企業側から念押しがありました。
ここでFさんはご承諾され、見事入社が決定されました。
転職活動を開始してからわずか一ヶ月でマッチングされました。
エージェントが手助けしたこと
このFさんの転職にあたっては、配属店舗が現在の職場より近い店舗であることを約束していただきました。
新規出店の際はその限りではありませんが、そこは面接時での説明でFさんも納得しておられました。
ですので、エージェントの私としても、新規出店したときの店舗の通勤距離についてまでは交渉しませんでした。
それがあだになるとは、その時はまさか思いもよらなかったのですが・・・
また、Fさんのこれまでの経験を売り込み、今後の期待値を込めての年収アップを交渉させていただきました。
そのおかげで年収100万円アップという条件を引き出すことができたのです。
その後の展開
転職後は希望通りの環境で働けていたのですが、数ヶ月突然私の携帯が鳴ったのです。
「新店の管理薬剤師を打診された。通勤時間が伸びてしまうので再度転職したい。」とのことでした。
面接時に新店出店時に協力して欲しいと言われ高めの年収を設定されていたのですが、いざ新店が決まると思ったよりも自宅から遠く不満が出てしまったようです。
今までのキャリアや仕事ぶりを高く評価された結果ではないか、と前向きに捉えるようにアドバイスをしましたが、「面接時はそう聞いていても、やっぱり通勤距離は伸ばしたくない。」とのことでした。
企業の変化に協力的でないと判断されて居づらくなり、その後退職という選択をされました。
転職前
- 年収500万円
- 薬剤師3人
- 精神科、小児科の門前薬局
転職後
- 年収600万円
- 中規模調剤チェーン
- かかりつけ薬局の店舗
年収やポジションに惑わされ、当初の「通勤時間」を第一の希望として転職先を決定しなかったので、転職を繰り返すことになってしまいました。
全ての希望が叶う職場が見つからなくても、譲れないポイントは固定しておくと後悔せずに済みます。
Fさんの場合だと『通勤時間に最後までこだわり、新店異動後の通勤時間も含めて交渉する』もしくは『年収やポジションを優先させ、異動後の通勤時間は妥協する』のどちらかに、前もって方向を決めておけるとよかったですね。
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転職に失敗しないために、踏みたいステップを紹介
ここまでにご紹介した転職の成功例・失敗例をふまえ、どんなステップを踏んで転職先を決めると良いのかまとめると以下のようになります。
薬剤師が転職に失敗しないための3ステップ
- 転職の目的をハッキリさせる
- 自分のキャリアを見直す
- 希望条件に優先順位をつける
1つずつ詳しく見て行きましょう。
1転職の目的をハッキリさせる
まずはできるだけ具体的に、自分の中で転職の目的をまとめましょう。
今の職場に対しどんな不満があるのか、どのようにあれば不満が解消するのか考えてみましょう。
特に残業時間・年収・通勤時間など数字化できるものは、「今と比較してどれくらいを希望するのか」を具体的にしておくと転職の成功が近づきます。
2自分のキャリアを見直す
次に、自分のキャリアについて見直してみることをオススメします。
現時点でキャリア(経験や知識など)が少ないなら、スキルアップも転職の目的として挙げられますね。
すでにキャリアを十分に積んでいるようなら、高収入を目指して転職が可能です。
数年先の転職を見据えて、スキルアップできる職場へ転職をするという方法もあります。
3希望条件に優先順位をつける
ここまでに「こんな希望が叶えられる職場が良い」という条件がいくつか出てきていると思います。
例えばこのようなもの。
転職先の希望条件の例
- 年収今よりも50万円アップ
- 管理薬剤師候補として採用
- 通勤時間を今よりも15分短縮
- 残業が月平均3時間以内
出てきた希望条件全てに対し、優先順位をつけていきます。
それにより求人を比較した際に、より満足度の高い求人先を選びやすくなりますよ。
エージェントとしても企業相手に交渉しやすいです。
1番目の条件を叶えるために、4番目の条件を譲歩するなどといった交渉もできるのです。
漠然とした「今の職場が嫌い!」という感情があったとしても、そこに至るには何か理由があるハズ。
まずは自分の気持ちやキャリアを整理し、どんな職場なら自分が快適に働けるかをよく考えてみることが大切です。
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薬剤師の転職成功の近道!転職エージェントの活用方法とは?
いまや、薬剤師の転職にかかせない転職エージェント。
薬剤師が転職の失敗を防ぎ、成功するためには転職エージェントをどう活用すればいいかお伝えします。
そもそも転職エージェントって必要?
転職エージェントは、求人票に書いてること以外にも多くの情報を持っています。
例えば転職エージェントが言う「求職者と求人先が合う」というのは、条件面だけではなく以下のような内容を指します。
転職エージェントが考える「求職者と求人先が合う」条件
- 採用担当者、または企業のトップに相性が合うか
- 企業の働き方に合うか
- 店舗の雰囲気に合うか
これらは求人企業の本社や支店の採用担当者との面会、実際の薬局・店舗へ出向いて求人内容と相違がないか確認をしている転職エージェントだからこそ知れることです。
仕事は条件だけ合えばできるというものではないので、目に見える以外の情報を持っている転職エージェントの利用は、転職成功のために必須です。
転職エージェントの提案を真剣に検討してみる
様々な求人の中から求職者に合った求人を見つけるのがエージェントの仕事ではありますが、実は希望とピッタリではない求人を紹介することもあります。
それは社風や働き方など多くの要素を検討し、根拠を持って提案されたものです。
特に年収など金銭面ばかりを気にすると、職場との相性が悪く仕事が続かない場合が多いので、転職エージェントは「働きやすさ」を考慮して求人を紹介しています。
お金の話ばかりで、こちらが相性や働きさすさを考えて紹介先を厳選しても、年収が希望条件に合わないと見向きもしない薬剤師の方は多いです。
それは非常にもったいないこと。
エージェントがなぜそのような提案したのか、まずは理由だけでも聞いてみてほしいのです。
転職エージェントは面接・面談の際に条件の交渉が可能であり、交渉はエージェントを利用して転職する最大のメリットとも言えます。
パッと見は条件に合っていない求人でも、条件交渉により希望に近づけられる可能性があります。
しかし現実には、エージェントから求人を提案をしても、面接、面談までいく方は2割程度です。
エージェントがなぜその求人を提案したかまで聞いていただけると、もっと転職成功率は上がっていくと思います。
まずは提案した求人に「出会ってほしい」、そうでないと始まらないんです。
条件から少し外れた求人がでてきとしたら、それは求職者の転職を成功させるために、エージェントがとても親身になって考えた結果。
理由を含めて真剣に考えてもらえれば、転職エージェントは張り切って条件交渉しますので、提案された求人はぜひ交渉を含めて検討してみてくださいね。
エージェントを信頼して求人を検討することにより、希望の職場が見つかる可能性が、グッと高まりますよ。
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複数の転職サイトに登録して相性の良いエージェントを見つける
転職のサポートやアドバイスをくれるエージェントではありますが、人対人の仕事には相性というものがあります。
エージェントを信頼して欲しいとお伝えしましたが、求職者との相性やエージェントの人柄により、残念ながら信頼できないと感じるエージェントもいるものです。
話しやすいエージェントや何となくタイミングが合わないエージェントとは、協力して転職活動を進めにくいですよね。
転職サイトは複数登録していろいろなエージェントと話し、自分と相性の良いエージェントを見つけましょう。
転職サイトによって「派遣も紹介できる」「ドラッグストア求人に強い」など特徴がありますので、自分の興味がある業界に強いサイトを選んで登録すると良いですよ。
転職に成功する薬剤師、失敗する薬剤師の違い:まとめ
職場や待遇に対する不満、スキルアップなど様々な理由により転職を考える薬剤師はいますが、共通して言えるのは転職成功のカギは下準備ということ。
自分がどんな転職をしたいのか考えをまとめないと、転職後にまた新たな不満が出てしまいますし、経験の浅い薬剤師がいきなり高収入を目指すのも難しいものです。
転職活動は時間がかかりますし、疲労やストレスも溜まります。
せっかく大変な思いをして転職をしたのにまたすぐ職場がイヤになり転職を繰り返さないため、しっかりと段階を踏んでベストな求人を見つけましょう。
良い環境で働くために、転職エージェントを上手く活用してくださいね。
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カオリ

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